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  どちらかと言えば「アンチ経済学」、というより経済学には縁のなさそうなあきこと思われているだろう。ささやかな個人の「経済学」だとしても、現実をふまえて生きていくための〈メガネ〉くらいのものはもっている。〈やりくり〉くらいのレベルだとしても。

 『葉隠』に「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という有名なフレーズがある。戦時には軍部がこのことばを軍国主義を浸透させるための道具として使ったらしい。武士という、独特の哲学をもちまたそれに則った生き方をした階級の、心理を際立たせるフレーズとして分からないことはない。『葉隠』には勇猛で知られる肥前鍋島藩の武士たちの生き方が述べられ、武士が官僚化しつつあった江戸時代においては危険思想だったらしく長く禁伝の扱いで、覚えれば火に投じて燃やしてしまうものとされていたとか。

 なにを言いたいのかというと、『葉隠』に語られる武士たちの「計算しない生き方」ということについて。川柳をどれほど究めたところで、ほとんどの川柳人にとって一文の足しになるものでもない。そんな川柳に嵌り込み、月に十何回も句会に通い詰める何人かを知っている。これはもはや物狂いの類。なにの虜になっているのだろうか。これも「計算しない生き方」と言えるだろう。そういうようにさせる魔力がこの文芸にはあるということでもある。

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