平成19年の秋。時事川柳専門結社「川柳瓦版の会」へ入ることを渋る私に、前田会長は一文を示された。瓦版誌の巻頭言だった。その名文としか言いようのない格調の高い文章に触れて、この文章を書かれる方が会長ならと、同人になることを承諾したという経緯がある。(あきこは、なかなかウンと言わないのね) もう一つは、「後継者として来てくれ。交通費も同人費も(こちらで)もつから、来てくれるだけでいい」という熱心なお勧めであったこと。名文の巻頭言とそのことばのどちらがなくても、時事川柳専門結社に入るなどという選択はあり得なかった。
本日先生の句集の資料として、鈴鹿川柳会の青砥たかこ氏からファクスで送っていただいた先生の鑑賞文(「川柳すずか」、平成22年1月号掲載)にあらためて感動。やはりまず確かな選句眼、さりげない鑑賞文が過不足のない名文であることに打たれた。むずかしいことばを使っているわけでもなく、たんたんと書かれているのだが、鑑賞者の人間味を感じさせる文章。この師であってこそ、(新聞川柳の)投句者との間に会話が成立するのである。(先生は、投句者のみなさんと句で会話するのが楽しいとおっしゃっていたのね) 「よみうり時事川柳」、前選者のときと比べて投句者数があっという間に膨らんだのも、実力ということだろう。(新選者(〇〇〇筒氏)のいまは、激減) ご参考までに写させていただく。川柳の〈横綱〉の遺された貴重な鑑賞文。
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リレー鑑賞 「すずか路を読む」
一九一号から 前田 咲二
本心を言えばとりかえしがつかぬ 橋倉久美子
本心を言ってはいけない場合と、本心を言わなければならない場合がある。どちらをとるかはその時の事情によるが、本心を言って得をすることはあまりないようだ。
ゴミ出しへまた確かめている曜日 山本 喜禄
私の市では、一週間のうちゴミ出しのない日は土日の二日だけ。そのほかの日は毎日ゴミの種類を分別して出す。生ゴミは火・金と決まっているのだが、いざ出すとなるとカレンダーを見て確認する。この句の気持ちがよくわかる。この作者も独居老人(失礼)なのだろうか。
思い出を美化して今日を締めくくる 高柳 閑雲
いろいろあった今日いちにちの終りに、思い出を美化するというのは大変いい心掛けだ。私は寝る前に、過去にあった楽しい記憶を思い出しながら眠るようにしている。神様はちゃんと夢を叶えてくれるものだ。
七五三松竹梅がある祝詞 萩原 典呼
典呼さんお久しぶり。鈴鹿でお会いできるとは思ってもいませんでした。七五三とはお孫さんですか。相変わらず達者な句をお作りですね。
CMを入れる時間をこじあける 坂倉 広美
テレビドラマにしてもクイズにしても、いいところになるとCMを挿入する。視聴者の誰もが感じていることを実に的確に表現している。他の四作も佳作。
風邪の喉やさしく撫でていく葛湯 北田のりこ
私の好きな句に「銘酒一献喉に挨拶して通る」というのがあるが、この句もあたたかい葛湯の喉ごしを「やさしく撫でる」と言ったのがいい。風邪もすぐ治ることだろう。
それぞれの趣味で夫婦にあるゆとり 浅井美津子
私の持論だが、夫婦の趣味はそれぞれ別の方がいい。お互い相手を重んじながら違う世界で生きてゆく。それが夫婦円満の基だと思う。(大阪瓦版の会会長・大阪府在住)
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