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吉野山・奥千本吟行(2919/4/23)27句
西行の生きざまを啼く鴬
鬼かさくらか奥千本に招かれる
渇仰(かつごう)へバスの一人になっている
隠棲のきのう深山(みやま)にのこる影
庵居する右にひだりにヤマザクラ
共感のかぜの途切れぬ西行庵
  吹き溜まるはなびらの沈黙
  俗世を切ってかくれ棲むかぜ
山居してかぜ聴くかぜになってゆく
花のむこうの昏(くら)さきのうを流れている

糸を切るようにきのうに入りこむ
ヤマザクラの肩越し鬼の目が光る
  花の下にも身は捨てきれぬ
望月の比(ころ)へも雨かぜの不意
笑いかけるようにはなびら触れてくる
この世あの世の境に浮いているさくら
声ほそく他人の貌で逝くさくら
直線を生きるわたしというさくら
西行庵きさらぎはみだしてさくら
法号は円位大きな水を張る

この世を吹雪く花のむこうにやみがある
いざないは花のむこうの修験道(しゅげんどう)
大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)をさくらが解きほぐす
行宮(あんぐう)を卯月(うづき)のかぜが香らせる
舞塚に静御前の舞すがた
総門のみなみ歴史が吊るされる
下千本七曲り小雨に追われ

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