吉野山吟行(2019/4/11)30句
わたくしの老(おい)にはなびら触れてくる
一目千本たましいの底に浮く
はなびらと流れる下千本あたり
いくつもの死に摑まれる吉野山
きのうへの扉を押しているさくら
きのうの重さ沈め賑わうさくらのやま
蔵王権現(ざおうごんげん)かさくらか かぜ香る
忿怒(ふんぬ)の形相(ぎょうそう)をさくらの木に刻む
西行のきのうがずっと咲いている
わたくしの歩み吉野のかぜのなか
位置を訊き西行庵を遠くする
さくらの渦のなかにわたしの飢えがある
渦の中にあなたを顕(た)たすヤマザクラ
くねくねと略図をバスが縫っている
座る場所さがして老の歩がゆるむ
蔵王堂の自害を遠く咲いている
自刃(じじん)の刃かさくらか 一閃の白
太閤のきのうの影を花見塚
花に酔い人に酔い花に酔い
訣(わかれ)の無残人もさくらも
ふいにひらくきのうのやがて不透明
点滅のきみがさくらのすき間から
枝のあいだに山塊の蒼よこたわる
近く遠くきのうを照らす陽のひかり
南朝のまぼろし沈む山の蒼
歌書よりも軍書に残る哀 吉野
一群のさくらオブジェになりたがる
右にひだりに陰翳を咲く
さくら虚実裡(うち)にことばを光らせて
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