※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。
『前田咲二遺句集 平成8年』【22】
切り餅のうすさも老母の苦労性
お世辞ぬきできれいとお世辞いうてはる
去年きたから出したのに来ぬ賀状
旗の波 そして笑顔が還らない
今年こそはと書きそのあとが浮かばない
捕鯨禁止の町で無口な老砲手
合格の電報いまも持っている
反省をしてます舌を出してます
ポケットにファイトを握りしめている
そして一年出てゆくあてのない仮設
妻の港にわたしを繋ぐ杭がない
スポットを浴びたは遠いいくさの日
健康をそこなうタバコなら売るな
貸し手にも呆れ借り方にもあきれ
矢面に立つと男の顔になる
ほとばしる母乳をこぼしながら飲む
なんぼへし折っても伸びてくる鼻だ
茶を入れて話がすこしあともどり
老妻が即かず離れずいてくれる
雛壇のまえのかわいい指切りよ
一番うしろの席で居眠りするつもり
よろこびが爪の先まで咲きこぼれ
虫も殺さぬおんな静電気を溜める
下げている抜き身が重い負けいくさ
ドライフラワー花のドラマを演じ切る
鍵束から外れたがっている鍵だ
俎の鯉が薄目をあけている
西成のホテルでつづる私小説
モシモシホントウッソヤッターサクラサク
さすがだな過不足のない褒めことば
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