※時間がないので、少々急いでまいります。まず前田咲二師の遺作集出版を終えなければ次の『たむらあきこ吟行千句』推敲にもかかれないのね。前回の『たむらあきこ千句』は、推敲に3年をかけております。「時間がない」と、最近思うのはそればかり。お手紙への返事ができていないことを、どうぞお許しください。(__) (写真:平成28年1月1日、居酒屋ミュンヘン淀屋橋店での懇親会にて森中惠美子先生と)
『前田咲二遺句集 平成15年』【41】
濡れた過去 乾いた過去を選り分ける
血のような爪でレタスを裂いている
蹲踞のかたちで憎しみを食べている
切り口を見ればおおよそはわかる
拉致の刺さったままに 風は秋
プライドも一緒に包む紙おむつ
だんじりの難所で軒が新しい
酒が入ると柔らかになるぼくの刺
納得のいかない顔で飲んでいる
想い出に戦陣訓が生きている
百歳の笑顔 敬語が美しい
二番手につけて流れを読んでいる
ネクタイは自分で買ったことがない
トップにはなれぬ謝るのが苦手
竿竹売りのマイクがゆっくりと通る
うるさいと妻に言われたことがある
赤い爪に夢の破片がついている
手始めに鯛と鮃の首を切る
顔を仕切って右と左が釣り合わぬ
家系図に激しく燃えた跡がある
午後の噴水は違った貌をもつ
これからを男は握りしめている
百選の豊かな水が町を縫う
ガード下の店でふるさと食べている
半分は光で半分は闇だ
絆という言葉も死語になるだろう
美容院帰りの妻は褒めるべし
躓くと夜の金魚はよそよそし
老母が来たらしい冬菜が置いてある
輪の中の一人が持っている反旗
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