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 吟行先は、とくに観光地というわけではない。観光地の説明に終わるような嘱目吟では、何百句詠んだところで仕方がないだろう。でかけるのは、なるべくなら平日。(土地の素顔が見えるのね) あまり人の歩かない路地に足を踏み入れることも、もちろんある。その土地で五感に触れたものを、新しい切り口の表現に結びつける。

 一生をかけて〈私〉を創っていくのが、私たちの生。絵画であれ音楽であれ、置かれたさまざまな状況の中で、自身と不可分ともいえる表現手段をみつけることこそ幸福なのである。川柳にながく生き甲斐をもらっていることをしみじみとありがたく思う。観光ではない、しっかりと自他を見つめる手段としての吟行を続けて、やはり川柳との出会いは運命的だったと思うのである。(写真:21日の札幌吟行で見ることになるだろう、時計台)

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