大滝と小滝と、二本の滝があった。その足もとに一本の筒が転がっていた。大滝は小滝に「(筒は)あんたにライバル心を持っとる」と言った。「筒には男も女も、寄りつかん」とも。
十年前の、小滝と三人での席で、大滝と筒との会話。
「二人(筒と小滝)のどちらかにおれのあとを継いでもらいたい」
「では、次期会長は、女性会長ということでっか!?」
「どちらかが(あとを)継いでくれ」
そのあと、ことばの鏃(やじり)に毒を込め、筒はたびたび小滝に嫌がらせを仕掛けた。そんな態度に当惑し、それでもいつかは変わるだろうとひそかに期待しながら、それも諦めに変わっていった。
筒は、大声で恫喝するのだが、そのあとよく見ると手元が震えている。小心者なのだ。立場が上の者には、まず逆らわない。相手が重い病気で倒れたり、立場が逆になったとみるや、たちまち手のひらを返す。
一生に何度も出合わないだろう蛇の姿が筒の中にくっきりと見えてきたとき、小滝は大滝と〈こころ〉でつながっていたことをあらためてありがたく思った。
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