何もなかったように鋭く死んでいる
『たむらあきこ千句』のうちの代表句の一つ。「死」というものの在りようがこの一句に収斂されている。斃(たお)れ、ものを言わず動かなくなった屍(しかばね)。しかし、しばらくはものを言っているのだ。「何もなかったように」なるまでの数日、あるいは数十年。葬儀すら簡略化の方向にある昨今、これから五十回忌までつとめる家はどのくらいあるか。とまれ少なくとも年忌ごとに語りかけてくる故人。
穏やかな死も、鋭い死も、人間の死。なかでも自死という死に方は残された者のこころにいつまでも鋭い痛みという刃を向ける。
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