課題「殺到」

特選
地鳴りとなって来るヒロシマの御霊 坂本 加代
秀作
ヒロシマの川に凍てつくミズの声 荒井 文生
トラウマがひきもきらずに攻めて来る 沢田 博昭
悪人も救ってくれる蜘蛛の糸 大井 幸子
雑詠
特選
追憶のかなたへ亡母のさくら色 藤原 鬼桜
秀作
丁寧に糸抜くように逝った母 米山明日歌
死に水を枯らしちまった花に遣る ふらここ
バンカーに何度落ちたか放浪記 角丸 弘之
選後感想 たむらあきこ
課題特選、「(御霊が)地鳴りとなって(来る)」のインパクト。「ヒロシマ」に地獄を現出させたアメリカの原爆投下。それから71年、オバマ大統領の広島訪問。秀一、地獄の苦しみの中で死んでいった無辜の民の「ミズ」を求める声が、年中ここには凍りついているのだ。「凍て(つく)」を再考。秀二、心の傷は他人には測り知れない。「トラウマ」に苦しめられるとは、こういう状態。秀三、芥川龍之介の短編小説『蜘蛛の糸』。釈迦の慈悲があっても、応えられなければ糸は切れ再び地獄に。
雑詠特選、「さくら色」は若かりし頃の「亡母」のイメージ。母への「追憶」に哀しく被さる「さくら色」。秀一、「丁寧に糸抜くように(逝った)」と、比喩に類がない。秀二、内容で採らせていただいた。「枯らしちまった」と懺悔、「花」に「死に水」を手向けるという情の深さ。秀三、「バンカー」で句に景。人生は放浪だったと振り返る。
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この句を特選に選んでくださりありがとうございます!
読後感想もぴったりでした。
私は主人の転勤に伴ってあちこちしていましたが、広島滞在が一番長くて通算11年居住していました。原爆ドームや平和公園などよく行きましたね。だからオバマさんが来た時のテレビは感動して見ていました。
南区に住んでいましたが比治山(低い山)の陰になって原爆に被害が少なかった地域もありました。私の絵の先生も小さい時比治山の陰になって助かったと言っていました。
この比治山には放射線研究所もあります。
いろいろな思いが怒涛のように溢れてあの句がす~と出てきたのです。
ありがとうございました。
加代さま
「殺到」という題に対してまずこの発想、さらに内容の重さインパクトの強さに驚かされました。
応募句の多くがバーゲンに殺到など軽い内容を詠んできている中で、この発想は凄い。
想像を絶する苦しみの中で亡くなられた方々の声にならぬ声が聞こえてくるようです。「(御霊が)地鳴りとなって(来る)」とは、ふつうでは詠めない実感が込められているのね。
やはりヒロシマの地で、あの凄惨をきわめた日に繰り返し思いを致し、鎮魂の思いを被爆者の方々に向けてこられたことが、自ずと言葉となって迸り出たとしか思えない。
これは、凄い句です。
御霊は、ヒロシマ訪問のオバマ大統領のことばを聴きに集まってこられたと、私も思います。怒涛のように。
戦争がない世界になることを祈らずにおれません。