課題「差し金」
特選
フィクサーは自分の指紋消している 竹中 正幸
秀作
もう寝ろと明日が横槍入れてくる 句ノ一
透明な鬼が私に指図する 小谷 小雪
差し金が誰か想像して和む 藤田まこと
雑詠
特選
まっさらなノンフィクションの朝がくる 渡辺 富子
秀作
ゴミ漁るカラスに若き日がダブる 中力芙美子
失いしものの重さよ春の雪 興津 幸代
憎しみで歪になってきた地球 菱木 誠
選後感想 たむらあきこ
課題特選、「フィクサー」は黒幕的人物。報酬を受け、陰で仲介・調停。仕事の痕跡の「指紋」は残さない。秀一、「横槍」を入れるのが「明日」だとは。課題に対する発想に類がない。秀二、「(透明な)鬼」は身のうちの「鬼」。秀三、暗いイメージの課題に対し「和む」を結び付けたのは手柄。雑詠特選、「ノンフィクション(の朝)」がよい。「ノンフィクション」は虚構をまじえず、事実を伝えようとする作品のこと。「まっさらな(朝)」だけなら常套を出ない。秀一、生きることへの凄絶な闘いの日々だったと「若き日」を振り返る。そうでなければ「ゴミ漁る(カラス)」までのことばは出てこない。秀二、「春の雪」のふわりともの哀しい明るさが「失いしもの」の「重さ」を際立たせる。文語の、過去の助動詞「き」の連体形「し」が句のトーンを重くしている。秀三、戦争とは結局「憎しみ」の応酬。
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