(10月1日、記す)
課題「途端」
特選
広島をヒロシマにしたエノラゲイ 松田 順久
秀作
目が合って両手が駈ける同期会 福本 清美
振り向いて負けをはっきり意識する 嶋澤喜八郎
カミさんが育てはじめたトリカブト 中前 棋人
雑詠
特選
すんなりと流れに沿えぬ棒で居る 富岡 桂子
秀作
ありがとうございましたと折り畳む 平尾 正人
悔しいと書く時筆圧が強い 杉山 太郎
生きのいい心だズキズキと痛む 居谷真理子
選後感想
課題特選、巧い。「広島」と「ヒロシマ」の対比。十七音のどこにもムダがなく、言い切れている。秀1、「(両手が)駈ける」という表現の巧みさに脱帽。秀2、勝者に、振り向くという動作はそぐわない。振り向いても、そこに心を動かされるほどの思いの深さはない。敗者なればこその一句。秀3、「カミさん」と「トリカブト」の対比に驚かされる。猛毒の「トリカブト」は殺意の暗喩ではあるが、まずは脅し。
雑詠特選、「棒」はもちろん作者。石などにぶつかっては、あちらを向きこちらを向きして流れてゆく。まるで不器用な作者のようだと。秀1、「折り畳む」ことの繰り返しが人生。その折に出るのが「ありがとうございました」という美しい日本語であればと。秀2、「悔しい」の怒りにも似た気持ちが「筆圧」に反映する。秀3、「心」とはやはり胸にあるのだろう。「ズキズキ」するのは心臓なのだから。
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