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石部明追悼川柳大会発表誌から抄出(特選及び準特選)6句
  たましいを握る笑っていいですか       榊  陽子
「たましいを握る」とは相手の心を奪うこと。心を奪ったのは作者。「笑っていいですか」というのは、そのことで相手に対して優位に立ったということ。誰かの「たましい」を握ったと実感するなど、そうあることではない。まず錯覚でしかないだろう。しかしまあ一時的にせよ握ったと実感できたとすれば、それはもうそれで笑うしかないと。

  三日月はガーゼを掛けてから握る      本多 洋子
「三日月」の形状は見ての通りのよく砥がれた刃物。「ガーゼ」でも掛けないことにはてのひらが切れて血の海になる。「三日月」とは、舌鋒鋭いどなたかの暗喩。とてもじゃないが、関わろうとすればまず鎧を着けてかからねば、忽ち斬られて心が血を噴くことになるのだろう。「ガーゼ」が医療用品であることと、その質感が句を味わう上でのポイントになる。「三日月」と作者との関わり方が読み取れる。

  いつまでも山羊であなたはオルガンで    徳永 政二
「いつまでも山羊」なのは「あなた」なのか。「山羊」といえばその形よりも先に鳴き声が出てくる。「メェ~」と「オルガン」を鳴らしたような響きなのである。反対に「いつまでも山羊」が作者であるとすると、どこか似たもの同士の二人ということか。「山羊」「オルガン」の材料からはすこし古い時代の村落の景がたち上がる。  

  遮断機の向こうへ顎がはいります      たむらあきこ
「遮断機」は見えないが、あの世とこの世を仕切るもの。「顎」が入るとは、この世からあの世へ現し身(うつしみ)の一部が入るということ。自死のためのロープの輪に「顎」をいままさに入れようとしている、と受け取っていただいてもよい。

  粗挽きの手前で少しだけ笑う         くんじろう
「粗挽き」と聞いて連想するのはまず珈琲豆。「粗挽き」は死を暗示。珈琲豆なら既に煎られて死んでいるわけだが(理屈ではないので)。死の直前に「少しだけ笑う」と、自他の死への諦観。「粗挽き」は滑稽味を足すための意図的な設定。

  ポケットの指は鯨が噛んでいる       兵頭 全郎
「指」は「ポケット」に入れた作者の指。「鯨」は『顎のはずれた鯨』(石部明氏のブログ名)の「鯨」、石部明氏の暗喩。「指」(作者)の生温かく哀しい思惟は、亡くなられた石部明氏のことが纏いついて離れないため。

以上は18日の私のブログに掲出の6句。句の意味が分からないとのコメントを頂き、簡単に解釈を試みさせていただいた。事実を書くのではなく、虚構の中から浮かび上がる真実を追求したいと考えて書かれたのがこれらの川柳。

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革新(的)川柳6句の「読み」”にコメントをどうぞ

  1. 加代 on 2013年9月19日 at 4:01 PM :

    一句一句じっくりと噛みしめながら読ませていただきました。ありがとうございました。
    解説を読むとほんとになるほどーと理解できました。このように比喩を上手く使って作句するという最高技術ですねー。(感嘆!)
    こういう深ーい意味を擁する句をたった575で表せるなんて川柳は素晴らしいですね!私もこれからもっと精進していきたいと思います。ほんとにありがとうございました!!!

    • あきこ on 2013年9月19日 at 4:35 PM :

      加代さま
      いまブログの数回の推敲を済ませたところです。
      文芸川柳を追求して行かなければと思うのですが…。川柳界の現状はまだまだ。
      でも少しずつ変わっていってくれるかも知れません。
      また気付かれたことがあればコメントをお願いいたします。
      率直なコメントを頂いたおかげで、作品を味わう時間をもつことができました。これからもどうぞよろしく。m(ーー)mヨロシク!!

  2. 竹内いそこ on 2013年9月19日 at 9:04 PM :

     こんばんわ 
    日曜日、地元の大会で私なりの文芸川柳に挑戦してみました。
    一句抜かれて正直びっくりしました。
     でもそのときに感じたのは、このようなタイプの川柳が知られていないのかな・・・と。あるいはどうせローカルではわかる奴いないだろう、という決めつけ。
     もっともっと推敲して磨いて、また挑戦してみます。
    こういう句が欲しかったんだ、という本音がこちらでもあるかもしれないし、数がふえれば選ぶ方の目も肥えていくかもしれない。
     あくなき挑戦者となったいそこでした。

    • あきこ on 2013年9月19日 at 9:42 PM :

      竹内いそこさま
      その一句、どんな句だったのかな?(書いてね~)
      この頃は普通に自分らしい句を出しても、割合どこでも入選するようになりました。選者の側が変わってきつつあるのでしょうね。
      地元では、選者を試すというわけではありませんが(ちょっとはあるか…、ナイショ)、いろいろな種類の句を出します。
      入選、没は最近どうでもよくなりました。この方と思う選者に入選すればよいわけで。(贔屓(?)の選者に入選しなかったときだけ慌てまくるあきこ)

  3. 竹内いそこ on 2013年9月20日 at 8:10 AM :

     おはようございます   あきこさま

     花盛りわたしにはない道しるべ   (題 花盛り)

      笑いで盛り上がっていた室内が えーっ 意味わからん という冷えた空気になったのを感じました。
     でも富山にあきこさんが来て下さるようになって、私以外にもちらほらチャレンジャーが出てきています。
     ( ? )が  !! になるまで頑張ってみます。
     

    • あきこ on 2013年9月20日 at 10:33 AM :

      竹内いそこさま
      句の解釈付けてね、よろしく。(@@;)

      • 竹内いそこ on 2013年9月20日 at 9:46 PM :

         ふふふ・・・・今さら あの選者の方はどのように解釈されて取って下さったのかな、と思うのです。本当に有難いです。

         人生の二股三股の分岐点、華やかで楽しい選択もあるけれど、もとよりそちらに行くつもりもなく、別の方を自分の意志でいくつもり。

          こういうつもりの句だったのですが、どこまで伝えられたのか自分でも疑問符。「読み込んでなるほど」という句・・・目指したい。

        • あきこ on 2013年9月20日 at 10:35 PM :

          竹内いそこさま
          了解しました。
           いつも花野を逸れるわたしの選択肢
          あきこ風に詠めば、こうかな。(^^)

  4. りょーみさすけ on 2013年9月20日 at 9:46 AM :

    「森茂俊さんの文を抜粋して一つの考え方を無断掲載させて頂きました」
    私が「ふらすこてん」や「バックストローク」に参加し投句するのは、「難解句」と呼ばれるものを勉強したかったからだ。最初は大いにとまどったしまだまだ理解出来ない句も多いが、作者の気持は解りかけている。良い句とは何かの基準も変わってきた。自分の詠む句が一番変わってきたと思う。「難解句」を知ることによって今まで解らなかった伝統川柳の良さも逆に解ってきたようにさえ思う。「解る川柳」だけではだめだということも重要だが、「解る句」の良さも逆に解るようになった気がする。
    私は森さんの全文に共感。読めない人に全文を読んで差し上げたい。
    ☆ミ凸ヽ(^-^) タイコバン!
    ※ 難解句が句会に提出された場合、相当、熟練した選者が選をするか、リズムだけで抜かれなければ陽の目を見ない。難解いこーる意味の深さなのだから、読み込んで「なるほど」の句は表に出てきてほしいと思う。(ノ_<。)

    • あきこ on 2013年9月20日 at 11:13 AM :

      りょーみさすけさま
      難解句は大人数の大会では確かに抜けにくい。
      「どういう意味や~」と言いながら(笑)、森中惠美子先生なんかはそんな句でも採っておられる。直感的によい句だと判断されるわけでしょうね。
      あきこはちょっと横に除けておく。余った時間で3回は繰り返して読み、「よい」とすればど~んと上の方へ持っていくことも。
      日々刻苦勉励。(古い!?)

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