「難解句鑑賞 №008」(川柳マガジンから転載 執筆:たむらあきこ)
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白鳥の少し汚れた絵を買おう 森中惠美子
真っ白で首が長いことから、高貴かつ優雅な印象を与える白鳥。冬鳥として湖沼などに渡来する。コオー、コオーと優しく鳴いて首を上下させ、また賑やかにコホーコホーと鳴き交わす。その優美な姿はいかにも霊鳥と言われるだけのことはある。(古事記には、大和に帰る途中亡くなったヤマトタケルの魂は白鳥になって飛び去ったと記されている。)
この句を味わいながら思いだすのは、俳句では次の句。《生きて来し汚れ白鳥にもありし》(今瀬 剛一)。どちらも、懸命に生きているうちに汚れてしまった「白鳥」の姿に自らを重ねる作者が見えてくる。汚れざるを得なかった「白鳥」のその汚れにこそ、作者の深い共感と哀しみがある。「買おう」はそんな自身への自己肯定だろう。
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