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 表題の句は、昨年の大阪川柳大会で、たむらあきこ選「衣」の秀句に採らせていただいた前田咲二先生の句。この句を、私が選者ということで、当日夜中の2時までかかって作句されたと伺った。大会当日、句会場で気分を悪くされ、倒れられたのも、お疲れの影響があるかも知れない。
 師弟関係は厳しいもので、私のほうからも、先生の納得のできない句は落とさせていただく。先生も勿論おなじである。そういうことを笑いながら喋り合えることを、ほんとうに有り難く思っている。
 この句は、私にとっては大切な思い出の句として、また先生の代表作として残ることだろう。よく句意を訊かれるので、もう1度下に記させていただく。
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      ひらがなの衣裳で昂(たかぶ)りをつつむ        前田 咲二
【評】「ひらがなの衣裳」とは何か。「衣裳」が衣装ではないことに着目。優美な「衣裳」、紗(しゃ)など、うすものの着物なのではないかと推測。そういう着物をさらりと着て、立って(あるいは座って)いる。何による「昂り」なのかといえば、(男との)逢瀬ということにほかならない。一見女の句かとも思うが、作者は男。目の前の艶かしい女の姿態を眺めて、愉しんでいる。(よい意味で)色好みの男の句。
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 このような句は、大会でそうそう出る句ではなく、川柳家として、後世まで句の価値を問えるレベルの作品。おなじ作者に次の句がある。どちらも大会の秀句。どちらも並みの感性では詠めない。
      淋しい顔の女淋しい耳をもつ
      真ん中で切るとふたつの風が吹く

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ひらがなの衣裳で昂りをつつむ‥(前田咲二)”にコメントをどうぞ

  1. 田村ひろ子 on 2013年3月26日 at 8:53 PM :

    あきこさま
    前田咲二先生の句のご披露をありがとうございました。
    胸に「ず~ん」ときました。
    三句とも男性の目の優しさと品の良さを感じました。
    よき師との出会いは宝物ですね。

    • あきこ on 2013年3月26日 at 10:03 PM :

      田村ひろ子さま
      はい。7年ほど前から大会にはずっとお供しているんですが、どの大会でも秀句に採られるんですよねー。
      このごろは新聞の仕事などで忙しく、なかなか出かけられません。
      でも、ご自分がそうなので、私にも「(秀句を)取ってこい」と言われるんですねー。
      「あんたはおれのライバルや」なんて煽てて、オモシロイですよ。
      いまは選に全力で取り組んでおられるので、句作の時間がないのがお気の毒です。なんと言ったって、川柳家は「句」ですからね。

  2. りょーみさすけ on 2013年3月27日 at 9:11 AM :

    「真ん中で切るとふたつの風が吹く」
    これまでの人生を振り返ってみて、何度こんな風を実感したことだろう。
    昨日も今日もそんな風が吹いている。

    • あきこ on 2013年3月27日 at 10:17 AM :

      りょーみさすけさま
      順風も逆風もあります。
      和歌山市から出てこられるのも、支えて励ましてくださる方があればこそ。(おにーさまとか)
      淡々と、句をつくって(文章を書いて)いきましょう。私たちにはペンがあるのですから。いつまでも生きていられないのですから。

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