表題の句は、昨年の大阪川柳大会で、たむらあきこ選「衣」の秀句に採らせていただいた前田咲二先生の句。この句を、私が選者ということで、当日夜中の2時までかかって作句されたと伺った。大会当日、句会場で気分を悪くされ、倒れられたのも、お疲れの影響があるかも知れない。
師弟関係は厳しいもので、私のほうからも、先生の納得のできない句は落とさせていただく。先生も勿論おなじである。そういうことを笑いながら喋り合えることを、ほんとうに有り難く思っている。
この句は、私にとっては大切な思い出の句として、また先生の代表作として残ることだろう。よく句意を訊かれるので、もう1度下に記させていただく。
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ひらがなの衣裳で昂(たかぶ)りをつつむ 前田 咲二
【評】「ひらがなの衣裳」とは何か。「衣裳」が衣装ではないことに着目。優美な「衣裳」、紗(しゃ)など、うすものの着物なのではないかと推測。そういう着物をさらりと着て、立って(あるいは座って)いる。何による「昂り」なのかといえば、(男との)逢瀬ということにほかならない。一見女の句かとも思うが、作者は男。目の前の艶かしい女の姿態を眺めて、愉しんでいる。(よい意味で)色好みの男の句。
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このような句は、大会でそうそう出る句ではなく、川柳家として、後世まで句の価値を問えるレベルの作品。おなじ作者に次の句がある。どちらも大会の秀句。どちらも並みの
感性では詠めない。
淋しい顔の女淋しい耳をもつ
真ん中で切るとふたつの風が吹く
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あきこさま
前田咲二先生の句のご披露をありがとうございました。
胸に「ず~ん」ときました。
三句とも男性の目の優しさと品の良さを感じました。
よき師との出会いは宝物ですね。
田村ひろ子さま
はい。7年ほど前から大会にはずっとお供しているんですが、どの大会でも秀句に採られるんですよねー。
このごろは新聞の仕事などで忙しく、なかなか出かけられません。
でも、ご自分がそうなので、私にも「(秀句を)取ってこい」と言われるんですねー。
「あんたはおれのライバルや」なんて煽てて、オモシロイですよ。
いまは選に全力で取り組んでおられるので、句作の時間がないのがお気の毒です。なんと言ったって、川柳家は「句」ですからね。
「真ん中で切るとふたつの風が吹く」
これまでの人生を振り返ってみて、何度こんな風を実感したことだろう。
昨日も今日もそんな風が吹いている。
りょーみさすけさま
順風も逆風もあります。
和歌山市から出てこられるのも、支えて励ましてくださる方があればこそ。(おにーさまとか)
淡々と、句をつくって(文章を書いて)いきましょう。私たちにはペンがあるのですから。いつまでも生きていられないのですから。