嶋澤喜八郎さんの50句
太陽が沈む音無き音立てて
ぶらんこを漕ぐ前向きに前向きに
同じ陽の中天にあり原爆忌
私が選ばれたのは消去法
日の丸の赤い部分に水をやる
封切らぬまま波音を聞いている
原文のままの私を差し上げる
起立礼そして戦は始まった
鳥になるチャンスだ誰も見ていない
ツユクサが咲いてるバスは出たばかり
お隣の洗濯物が濡れている
素晴しいサラダだ春の跳躍だ
秋だろう緊急ベルを押したのは
忘れ物して来たらしい帰り花
私の影が私になつかない
冬に入る色えんぴつを並べかえ
私の出自を蝶は知っている
私のどこを押しても灯がともる
沈黙も答の一つ寒椿
一人より二人 三人より独り
抱いた児が笑えばふっと軽くなる
ふところが深くて皮肉通じない
行間も紙背も読んで動けない
一呼吸置いて怒りを和らげる
心音はSOSと打っている
つぶやきの泡で地球が溺れそう
一歩目の足の左右が決まらない
心配の種にもちゃんと水をやる
ぶらんこは静止心を決めたのか
合掌の手からこぼれている野心
月天心むかし話がしたくなる
にんげんの愚かさ犬に笑われる
何思うでもなく腕を組んでいる
マッチ擦る夢の続きに逢いたくて
来し方が追いかけて来る濁り酒
昨日より小粒になった今日の夢
独りいて夜明けの歌がうたえない
他人なら許す自分は許せない
どん底の私の今を受け入れる
一人より二人で仰ぐ冬銀河
そこからは私は人に見えますか
信じたし人愛したし風五月
雨になるあなたが風になるならば
なぜだろう「かしこ」が濡れているみたい
コスモスはいいな誰にも愛される
鳥になりそれから風になるつもり
ずかずかと来て唇を奪う秋
七転びしてそれからを模索する
何もかもかなぐり捨てて滝になる
てふてふに戻るだあれも見ていない
Loading...

















































