母子関係では、血のつながりつまり生物学的な要素がことさら強調されるが、これは一般的というわけではないらしいのね。子はかならずしも産みの母に愛着を示すわけではないのだとか。
胎児は胎盤を通じて栄養を与えられ、かなり成長してから産みだされる。哺乳類の特徴は授乳よね。このことが哺乳類にみられる密な母子関係を生みだしていると考えられるのね。子育てには総じて母親の負担が大きいが、逆に父親が関わるのはまれだとか。
日本の母親が育児不安を抱えてしまう背景的な要因に「母性神話」があるというのね。母性神話とは、母親には、自分のことはおいても子どもに尽くす、そんな母性本能が備わっているという言説。日本の社会では広く、一般的に信じられているのね。
母親である前にひとりの人間なのね。発達心理学的には、母性や子どもに対する愛というのはもともと備わっているものではなく、子どもとの交流の中で育まれてくるものだというのね。子育ての中で発散されない負のエネルギーが溜まると、子どもに対する虐待というかたちで現れてしまう危険性が否めないのだとか。母性神話にとらわれ、精神的に不安定な状態でずっと子どもと一緒にいることのほうが不健全だという。とは言え、すでに浸透している神話なので、その刷り込みから脱するのは簡単なことではないだろう。
川柳は、ふだん表面になかなかでてこない真実を探る文芸なのね。いままでは母性神話のような母性賛美を詠むことが多かったが、これからは深層心理を抉っていくようにしないと、文芸としてつまらないものになる。川柳の可能性とはそこにあるはずなのだから。下記は「母」を詠んだ川柳。まずみずからの内なる神話を排除して、これからはもうひとつ踏み込んだ内なる声を詠んでいきたいと思うのね。
母さんをだます言葉は決めてある 日下部敦世
追憶のかなたへ亡母のさくら色 藤原鬼桜
楢山に母を託して長い夜 すずき善作
ご先祖さまになってしまった父と母 松井逸馬
生かされるオケラも僕もまだ母も 小林信二郎
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