足かけ十年の 瓦版の会在籍中にいろいろなことがあった。そもそも「(瓦版の会の)後継者として、時事川柳を勉強してほしい」という前田先生の強いご依頼で同人となり、翌年からは編集同人として会のさまざまなことに対してご相談もいただいていた。「交通費も同人費もこちらでもつから、来てくれるだけでいい」とのことだったのね。月三回(句会・編集会・校正会)の交通費ほかで「一万円でいいな?」とのお申し出でしたが、「半分でいいです」と申し上げたのです。それからずっと、ご病気で倒れられるまで毎月その額を自腹を切ってくださっていたのね。いわば、招かれて入った句会なのね。初めからふつうの同人というわけではなかった。
先生は、「直接あんたに(後継者として会を)渡したい」と仰り、「編集人を決めるのを早まった」ということも仰っていたのね。少しずつ分かってきた事情もあり、そのことに対してきちんとはお答えせず、曖昧にしていたのね。栴檀木橋の上で、倒れられる数か月前だったか、「あんたの名前を書いて読売新聞社に届けておくぞ」と念を押されたのね。でも、お断りさせていただいた。その少し前に現代表からの恫喝があったからです。あまりのことに「●●さんが(会長を)やって!」と返してしまったのね。会長(「よみうり時事川柳」欄選者を兼ねる)は譲ると。前田先生が亡くなられ、まさかそのあと「咲くやこの花賞」の選者(私は永久選者なのね)までさせないと書いてくるとは、全く信じられないようなことでした。
前田先生は、わたしが入る前に辞められた編集同人のS氏を買っておられた。「Sがいてくれたらなぁ」と仰った。そのS氏は「●●(現代表)がいやで(編集同人を)やめたんや」と。本来後を継ぐべき人(本命?)がそのようにして消えてゆく。そのことを詠んだのが、《腋芽(わきめ)伸びるようにきのうが継がれゆく》という句なのです。
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大阪市中央公会堂吟行19句
―前田咲二師に捧ぐ―
まぼろしをあつめる淀屋橋あたり
見えぬ目のまなざし仙人の部分
移りゆくこの世ふたつの水柱
身のうちの恩師に独語かたむける
それぞれに位置のとりかた 舌いくつ
腋芽伸びるようにきのうが継がれゆく
師にまつわる記憶 鍛えているところ
わたしと師との日々へときどき蓋を取る
辻褄があうまで蓋をとっている
わたくしのきのうが透けてくる秋陽
どこか似る背中恩師をだしてくる
きざはしのカーブも知っているだろう
まぼろしがきのうの石段で笑う
石の階(きざはし) 恩師とわたし
深層意識にやがて紛れてゆくらしい
おぼろげな詩人の川を遡る
神も師も出掛けているらしい十月
スコールがときどき心情の喩
公会堂のきのう畳んで持ち帰る
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