※時間がないので、少々急いでまいります。良しあしとは別に採っている句があります。先生のものの考え方が出た句、故郷・新宮のことを詠んだような句。先生は新宮中学から江田島の海軍兵学校へ進まれました。東大・京大とは言わなかった時代で、よくできる生徒は海兵(海軍兵学校)か陸士(陸軍士官学校)へというのがふつうだったらしい。一浪か二浪して、あとから海兵に入ってきた親友もおられたようです。のちに新宮から仕事(日本通運)の関係で大阪に出てこられました。最初は新宮にある支店(?)での勤務だったと伺っております。
『前田咲二遺句集 平成4年』➍
パック売りのさかなに波の彩がない
通行人役が熱演して困る
日雇いの焚火 景気の浮き沈み
逆立ちをすれば明日が見えますか
帽子から出る鳩やさしすぎないか
獲物追い詰めると豹は風になる
おだやかな顔だ臨終なんだろう
同穴がかなわぬ人の墓洗う
魚群追う電波へ光る男の眼
飽食というむなしさを知っている
百薬の長がいちばんぼくに効く
麻酔薬切れて恋からさめました
我慢を重ねて母の背中が丸くなる
善人で鬼も味方にしてしまう
先にうなずく男を味方とは見ない
ファックスで愛を送ってくる女
懐手 人の情けを持ち帰る
墨東の路地に荷風の影さがす
紅燈に転がっている私小説
ぼくが呼ぶといつも貧乏神がくる
ひょっとこの面にも向こう傷がある
切り口に男の生きざまが見える
くもの巣にかかったじっとしていよう
父の骨と怒りを焼き場から拾う
回り極まって色独楽色失う
お父さんお歳暮すこし下げていい
ちびた鉛筆を上手に削る父
夫婦善哉 酒は夫がついでやり
記憶のなかにいつも幼い亡弟よ
夕焼けの記憶の中に浮く大和
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