『前田咲二遺句集 平成13年』【23】
足裏を見せて淋しい逆立ちだ
逆縁のお星母にはすぐわかる
阿彌陀さまのみ掌にふわりと降りようか
柔らかに輝いている母の星
とうちゃんの直した屋根が漏っている
塩爺と咲爺どっちもどっちだな
恐れずひるまず小遣いアップ妻へ言う
ズボンからシャツを出すなと言うたやろ
一時間前出社し部下の机拭く
妻はA型よく辛抱をしてくれる
昭和史に我慢の切れた跡がある
支えきれなくなったら放すかもしれぬ
海女もぐる限り太陽光とどく
十円を拾って腰が痛くなる
引き潮の渚に落ちていた 別れ
聞かなんだことにしといてくれないか
ぼくの先送り 政府を嗤えない
出会い系サイトおんなで出ています
岩のようにシャッター下りている不況
産寧坂の雨に雨おんなと濡れる
前頭葉ばかりふくれる意気地なし
目の前の男を全力で倒す
けんか上手で決着を急がない
両の手を両手で包む仲直り
両手からこぼれる今という時間
物好きな蚊だ薄い血を吸いにくる
一度外した首輪が首になじまない
えりあしのほくろ浴衣によく似合う
盃の菊の御紋に浮く昭和
子に残す僅かな財と軽い骨
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