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『前田咲二遺句集平成10年』❸
袋絵の花を信じて種を蒔く
トーストも愛もこんがり焼いてます
蕾のうちに摘まむ情けもあるのです
千の手に千の閃き千の迷い
その話聞き捨てならぬ 猪口を置き
さくらさくら亡母にもあげる小盃
口縄坂の雲織田作の顔に似る
年金の暮らしに義理が重くなる
逃げ上手も誘い上手もいる宴
中途半端な男をリストからはずす

相棒が走りはじめたので走る
モザイクをかけたニュースが歩き出す
誘われやすい左を叱る右の耳
青い地球遺す署名を太く書く
ぼくが死んでもああまで妻は泣かぬだろ
今朝の仏花にカーネーションを挿し添える
陽を仰ぐ汗は流れるままがいい
二人から二人に戻る蕎麦枕
枕の下に今日の内緒を一つ敷く
サングラスに会釈をされてうろたえる

時効になった恥ならたんと持っている
吐き棄てられたことばを一つずつ拾う
酒という駆け込み寺を持っている
最初から母は許すと決めている
原作を読んで も一度観る映画
古傷にさわってぼくを黙らせる
五十年夫婦に削るものがない
任された白紙を白のままたたむ
自分を叱る声がだんだん小さくなる
あの頃にあの句を詠んだ鶴彬

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手のなかに師・前田咲二❸‥《五十年 夫婦に削るものがない》(前田 咲二)”にコメントをどうぞ

  1. 前川奬 on 2018年10月11日 at 10:00 AM :

    たむらあきこ様
    遺句集③拝読。有難うございます。
    健康第一にて、ご無理なされぬように願います。
    前川奬

  2. たむら あきこ on 2018年10月11日 at 10:14 AM :

    前川奬さま
    ありがとうございます。
    急がないとあれもこれもが中途半端になるし。
    仕方ないですね(笑)。
    眠れるときに眠って、あとはこつこつとやってまいります。
    あなたも、十分健康には留意されて。
    どうぞながく川柳を楽しんでくださいね。

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