課題「口火」
特選
鎖骨だす春の口火を切るように 米山明日歌
秀作
言い出した人が御輿の上にいる 松田 順久
一本のマッチで変えられる世界 岡本 恵
真四角に座り直して切る口火 小池 楽人
雑詠
特選
拭えない小ビンの中の蟠り 千田 祥三
秀作
ほとばしる本音訛が止まらない 近藤 魁風
後悔が前後左右に立っている 石井小次郎
蘖の存在感に負けられぬ 森口かな江
選後感想 たむらあきこ
課題特選、「鎖骨だす」にエロティシズム。甘美な大人の時間が始まるのだろう。「春」は季節ではなく、色情の「春」。秀一、結果として担がれて「(御輿の上に)いる」と、捻り。秀二、アンデルセンの創作童話「マッチ売りの少女」を彷彿させる。「られる」は可能の助動詞。闇を明るくする、即ち「世界」を変えられると。作者の〈願望〉だろう。秀三、「真四角に」「座り直して」と、改まった話し合いが始まることの示唆。
雑詠特選、「小ビン」は作者。「小ビン」であるからこその「蟠(わだかま)り」かも知れぬと。秀一、「本音」を口に出すときはつい地が出てしまう。秀二、「前後左右に」が面白い。「後悔」を纏いつかせ、過去を引き摺りながら生きているのが、人間。秀三、「蘖(ひこばえ)」は、切り株や木の根元から出る若芽。青々と立ちあがる「蘖」の逞しい生命力に感動。「負けられぬ」と自身を叱咤。
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