日本3名瀑の一つ。133mの高みから轟音とともに落下する那智の大滝は、まさに自然の大造形。神秘そのもの。はるか熊野灘の海上からも眺められるという滝の姿は、古代の人々には神の降臨の御柱(みはしら)そのものに見えただろう。熊野那智大社の社伝には、神武天皇が熊野灘から那智の海岸に上陸したとき、原生林の間に光り輝くこの大滝を見て、神として祀ったとある。その守護のもとに、八咫烏(やたがらす)の先導で無事ヤマトに入ることができたという。この地方に住む人々は、神武天皇よりはるか昔からこの滝を神として崇めてきたにちがいない。
那智の滝はユネスコの世界遺産に登録されている「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部。一段の滝としては日本一の深さ。那智山には多くの滝があり、修験場として扱われていて、本来の「那智の滝」とはこれらの滝の総称。現在「那智の滝」というとこれら多くの那智の滝の中でも「一の滝」とされるものを呼ぶ。
滝そのものが御神体
古代の日本において神とは自然に宿るもの、というより自然そのものという信仰があった。現在では、神社には神が宿る「ヨリシロ」があってそこに神が降りてくる、というのが一般的だが、古代では自然物そのものが神だった。それは山であり、大きな岩であり、滝であったりした。人にも神が宿る。自分の中の清冽な部分を見失わないように、ときに滝のごとくありたいと思う。
下記は、「滝」を詠んだ和歌(短歌)2首と川柳1句。川柳は『川柳集 たむらあきこ千句』に収載予定。
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雲消ゆる那智の高嶺に月たけて光をぬける瀧のしら糸 (西行)
若葉もゆる那智の樹海をわたり来し風の強さよ息出来ぬまで (前田 炸二・現瓦版会長 前田 咲二)
滝壺の往還うつし世が離(さか)る (たむらあきこ)
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