川柳・交差点てん長(代表)の嶋澤喜八郎氏とは、川柳行脚に出た平成17年秋頃からのお付き合い。初対面から十年以上が過ぎたが、まるできのうのことのようである。氏に川柳文学コロキュウムほかの句会を紹介していただき、そこから私の川柳行脚が大阪から京都、さらに全国に広がっていったという経緯がある。
氏の句は十数年前に川柳マガジンで拝見して、それからずっと気に掛かっていた。《影がまだ人の形でいてくれる》(嶋澤喜八郎)、いまでもすぐに出てくる句である。他の方々の川柳とはひと味違うとしか言いようのない、自己洞察の深さ。それでいて軽妙なところも。要するに、一貫して川柳に独自の世界を拓かれた。まずは15句を抄出。
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忘れものしてきたらしい帰り花
わたくしの影がわたしにへばりつく
振り向いて負けをはっきり意識する
主義主張持たなくていいポリバケツ
冬に入る色えんぴつを並べかえ
私の出自を蝶は知っている
陽が落ちて街灯ぽつり残される
何もかもかなぐり捨てて滝になる
てふてふに戻るだあれも見ていない
網棚に妻を忘れてきたような
封切らぬまま波音を聞いている
返答のつもりか雪が降りしきる
ルルルルル るるるるるるる 留守らしい
春うらら菩薩に指紋ありやなしや
沈黙も答えの一つ寒椿
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