田子(たご)の浦ゆうち出(い)でて見れば真白(ましろ)にそ富士の高嶺(たかね)に雪は降りける (万葉集 三一八・山部赤人)
田子の浦を通って視界の開けたところに出て見ると、富士の高嶺には真っ白に雪が降り積もっていることだ。
奈良時代の歌人、山部赤人が富士を詠んだ有名な歌。赤人は生没年、経歴ともに不詳。聖武天皇の紀伊、吉野、播磨などの御幸にお供して歌を詠んでおり、宮廷歌人として活躍。旅の歌、特に叙景歌にすぐれているとされる。《田子の浦にうち出でて見れば白妙(しろたへ)の富士の高嶺に雪は降りつつ》という形で『新古今和歌集』に見え、『百人一首』に採られている。『万葉集』の形だと「ゆ」は動作の経由する場所を示す格助詞であるから、「田子の浦を通って」ということになり、田子の浦は富士が眺望できない所ということになる。それに対して、『新古今和歌集』は「田子の浦に出て見ると」であるから、田子の浦は富士の見える所でなければならず、これは現在の田子の浦の地と考えられる。
富士山周辺吟行では、上記万葉集の歌が詠まれたであろう所縁(ゆかり)の地を訪ねたい。静岡県庵原(いはら)郡由比(ゆい)町から西南の海岸、倉沢や由比、蒲原のあたり(かつての田子の浦)。東海道新幹線の新富士駅で下車、JR東海道本線に乗り換えて由比駅か蒲原駅で下車の予定。
いつまでも元気で出掛けられるわけではない。平成17年に始めた川柳行脚。富士山周辺吟行は、抗いようもなく衰えかかる私を投影するものになるような気がする。(写真:薩埵峠(さったとうげ)からの富士山)
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