課題「格安」
特選
赤紙が52円でやってくる 沢田 博昭
秀作
きび団子ひとつで行った鬼退治 小松 多聞
格安の私に誰も気付かない 馬場ゆうこ
安っぽい貌で先着順の列 加藤 鰹
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雑詠
特選
混じることのない一色を抱いている 吉道あかね
秀作
水を切る石は昔に届かない 須田 昭
お向かいの瓦のずれはよく分かる 菱山ただゆき
編み掛けの自伝つくづく色が無い 上原 稔
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選後感想 たむらあきこ
課題特選、「赤紙」「52円」のインパクト。具体性で迫ってくる。安保法可決へ戦争の悪夢が甦る。秀一、お伽噺に材を採る。「きび団子」が「鬼退治」の報酬だった。特選の句に通じるところがある。秀二、どれほど値段を下げても一瞥もされない「私」。自負を挫かれた驚き。秀三、「先着順の列」で場景を端的に描写。「安っぽい(貌)」と自身を客観視。
雑詠特選、「混じることのない」と、誰にも侵させない自分という毅然とした「一色」をもっているといっている。秀一、少年に戻ったように水面に石を滑らせている作者。投げ方は身体が覚えているが、「昔」を思い出すことはない。年齢的に遥か遠くまで来てしまった。秀二、「瓦」は頭(部)の暗喩と読む。自分のことはさて置き、「お向かい」ほどの距離にいる他人の、加齢による「(考え方の)ずれ」はよく分かる。秀三、自分史を編んでいる途中の自己憐憫。
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