本日、爽やかに晴れた気持の良い日であったが、散歩以外は終日デスクワーク。昨日到着した『川柳塔社・愛染帖』に取り組む。今月の応募者は249名。
本日の分は7月号に発表のためアップできず。5月号に掲載の内のベスト9をご紹介。
【川柳塔5月号 愛染帖】
おばあさんになったらずっとおばあさん 大阪市 谷口 義(注・作者は女性)
(評)赤ちゃんから少女。少女から娘。娘から熟女。熟女からおばさん。おばさんからおばあさん。そして、死ぬまでおばあさん。
定年に魔法が醒めた顔になり 吹田市 穴吹 尚士
(評)上からのしごきと下からの突き上げにピリピリ緊張していた毎日。それは、にんげん性を否定された、一種の魔界とも言える。
肩書をとれば缶蹴りした仲間 堺 市 大隅 克博
(評)肩書きが通じるのは所属している組織の中だけのこと。一歩外に出ればみんな平等。どこでも通じると思っている人が稀にいる。
自分にはだんだん甘くなっている 八尾市 生嶋ますみ
(評)反省!である。が、そのことを自覚しているだけで充分。自覚なく反省もなく、他者の欠点ばかりあげつらう人は珍しくない。
東京へ行けば格差がよく分かる 香南市 桑名 孝雄
(評)大企業が少ない地方では、運転手つきのベンツで威張っている人はあまり見かけない。みんな似たような素朴な暮らしである。
マンホールの蓋にも花が咲いている 大阪市 米澤 俶子
(評)その気になればどこでも花を楽しめる。道端の野草にも可憐な花が咲き、マンホールの蓋にも町の花が鮮やかに描かれている。
妻との仲とりもつ固い瓶の蓋 唐津市 坂本 蜂朗
(評)口でも元気度でも妻には負けている。かろうじて頼りにされているのは腕力だけ。それさえ負けるようになったら…。
齢八十さて老人会へ入ろうか 安来市 原 煩悩児
(評)老人会に入るタイミングは難しい。「いや、まだまだ!」と言っているうちに疎遠になる。入れば新しい世界が開けるだろう。
三姉妹私のほかは認知症 東京都 岸野あやめ
(評)歳をとったら、旅行や芝居や映画を一緒に楽しみましょう。と語り合っていた姉妹だが…。まことに残念なことである。