川柳塔誌に「せんりゅう飛行船」と題して、毎月1頁、川柳にまつわるエッセーを書かせていただいている。同人や誌友の皆さんは一応読んで下さっているとは思うのだが、あまり反応はない。反論もない。
ところが珍しく、川柳塔本社3月句会の会場ロビーで、あるご婦人が「今月号の飛行船に元気を貰いました。ありがとうございました!」と声をかけてくださった。3月号の内容は、文芸である川柳が、スポーツと同じように「他者と比べ合う」という形式で発表されている現状を嘆いたもの。このような状況に悩んでいる人や、嘆いている人も多いだろうと思い、その頁をアップします。
川柳塔3月号掲載 「せんりゅう飛行船 №27」
【 他者と比べない 】
スポーツの基本は「より速く」「より高く」「より強く」を目ざし、自らの体力と技量を鍛えることです。そもそもの出発点において、それは他者との比較ではなく、「自分自身との闘い」であり、ストイックな達成感を重視していました。その精神性の一端が、「オリンピックは勝つことではなく、参加することに意義がある」という言葉に表われています。
ところが皮肉なことに、その崇高なお題目を掲げた近代オリンピックによってナショナリズムが刺激され、「勝つことが国家の名誉」となり、出場選手の使命にもなってきました。
日頃は日の丸に関心のない人でも、オリンピックになると競技会場に掲げられる国旗に感動させられます。
このように、本来は自己との闘いであったものが、いつの間にか他者との競争になってしまったのは、にんげんが生まれつき持っている「闘争本能」の成せるところでしょう。他者と比べ合うことによって刺激を受け、より一層ファイトが湧いてくるのは誰しも経験していることです。
では、わたしたちが取り組んでいる文芸はどうでしょうか? 言うまでもなく、文芸は他者と競争するものではありません。あくまでも個人の想いを表現するものです。
しかしながら、川柳大会では、他の作品と比較され、優れていると判断されたものは「天・地・人」とか「秀作」などのように位付けされ、スポーツの祭典と同じように表彰されます。このような様式は、川柳の出発点である「前句付け」の遣り方を受け継いでいることはご承知の通りです。残念なことですが、「座の文芸」とも呼ばれている川柳は、誕生のときから「比べ合う」という形を背負ってきたのです。
文芸の本質からかけ離れたこのような形式を改革するのは川柳界に課せられた宿題ですが、連綿と続いている伝統を一朝一夕に変えることは至難です。であれば、今のところは妥協しながら、少しずつ改革の道を探って行くほかはありません。肝心なのは、皆さんお一人ずつの意識の問題です。
・文芸は他者との競争ではない
・句会や大会の競合形式には影響されない
右の二つをしっかり胸に刻み込むことです。この二つを理解し忘れないようにすれば、他者と比べて一喜一憂することはありません。抜けんがために「選者に迎合したあざとい句」を作ることもありません。誰のものでもない「自分の想い」を込めた句、勝ち負けとか抜ける抜けないというレベルを超えた、個性的な句を発表すればいいのです。それが文芸の基本であり、わたしたちが目指す最終目標です。
ただ、大勢の仲間の中には成績にこだわり過ぎる人も稀にいて、「句会や大会は勝負の場」等という人もいます。闘争心が人一倍旺盛なのでしょう。ファイトがあっていいのですが、そのような人の言動に巻き込まれてはいけません。
スポーツの崇高な精神性が、いつのまにか闘争本能に蹂躙されて「競技」となってしまったように、我らが川柳が「他者との競争」という低レベルな言葉遊びに陥らぬようにしなければなりません。常に文芸の本質(個人の想いの表明)を見失わぬよう、意識し続けたいものです。
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完司 さんの参加することに意義あり、「他者と比べない」には大賛成!
入選したいばかりに選者に迎合したあざとい句」を作る人が居るのは確かです。選者の傾向と対策を研究し、自分に合う選者と勝手に思い込んでる人も居る。川柳は庶民のささやかなはけ口?でもあるのに、川柳は詩だと気真面目な句しか取らない選者もいるのも事実。
選者も自分好みの句ばかりを選ばず自分をを変える必要があるかも・・・。しかしこれは難しいかもネ。
ボクは川柳を始めてから5年半だが、大先生のブログにも身の程知らずと言われるかも知れないが、駄句を混ぜコメントしてる。今では5・7・5、7・7は自分の言葉になってしまった。
まだまだ書き足らないが、挨拶は短ければ人に迷惑を掛けないと丸谷才一が言っていたので、この辺で締めます。
ありがとうございます。現在の文芸の本質から離れた「句会」や「大会」の様式に不満を持っておられる人はたくさんおられます。が、上にも書いていますように、連綿と続いてきた伝統を改革するのは至難です。
しかし、結社によっては、少しでも改革をと、複数の選者による共選とか、入選句数を制限せず、選者が良いと思った作品はすべて抜く、という方式などを採り入れています。
もちろん、このような改革とは別に、選者の質の向上が望まれるのは当然のことです。
今晩は、お邪魔します。
「他者と比べない」のご意見はその様に有るべきと私も思います。「川柳飛行船NO27」のご意見、私達の句会にも副教材として使わせて頂きたくご了承戴ければと思います。
昨年の展望大会の後で完司さん仕切りの席で提案が有りました、投句数を2句から1句に変えても良いのではと言う意見は、この事を前提とすれば良いかと思われます‥‥反省
付け加えて、以前川柳展望の天根夢草主宰が仰っていた没句に対しても、大会の発表誌で何故没句になったのかコメントして頂ければ参加者にとっては川柳を続けていく者(特に初心者)には参考に成るのではと思います。
晩めの晩酌をしながらコメントしております、失礼しました。
おはようございます。
「せんりゅう飛行船№27」←副教材に使っていただいて結構ですよ。ご遠慮なく。
そうですね、没句へのコメント、賛成です(選者は大変ですが…)。すべての没句については無理でしょうが、何句かピックアップすれば出来るでしょう。ただ、没になった句は「未発表句」ですから、「他の句会へ出す」という人もいますので、あらかじめ「没句へのコメント、OKか否か」を本人に確認する必要があるかもしれません。
21日の朝です。おはようございます。
「パワハラとセクハラ超えて金メダル」 これにも涙でしたが、完司さんの「他者と比べない」文芸感 番傘の岸本水府が貫いたことなので私もひとり一句はいただく句会をしています。
無冠亭さんのご意見も貴重です。「選者考」が一番必要かもしれませんね。選者へ迎合もなくしたいものです。
柔道の山口香さん筑波大学準教授からから 東京都教育委員だそうで期待しています。女性ががんばらないと何も変わらないかも・・・。
おはようございます。
そうですね、入選句のランク付けはしない、という姿勢を貫いた岸本水府はさすがです。
はい、男女同権を声高に言う割には、日本はまだまだ女性の進出を阻む気風が残っています。その点、川柳界の女性パワーは凄い。どの大会へ行っても半数以上が女性のようで、気の弱い私などタジタジ。まことに頼もしい限りです。