●新型コロナウイルスの第3波といえる感染再拡大で、医療現場の逼迫(ひっぱく)は深刻さを増し、関係者は「医療崩壊」という最悪のシナリオに危機感を募らせている。(産経新聞デジタル)
●それは、単に感染者の増加のみに起因するわけではない。病院にベッドを用意しても、そこに横たわる患者に対応する医療スタッフがそろっていなければ治療はできない。患者の命を救う医療機器の準備も必要だ。
●埼玉県内で新型コロナ重症患者の「最後のとりで」の一つに位置づけられている自治医科大付属さいたま医療センター(さいたま市)でも、患者の受け入れ体制が限界に近づいているという。「これ以上増えれば、コロナ以外の他の患者にも痛みを与えることになる」。治療を統括する讃井(さぬい)将満・集中治療部長はこう指摘する。防護服をまといながら新型コロナと闘う医療の最前線の現場を取材した。(三宅陽子記者)
●よみがえる「第1波」の苦い経験
●ベッドごとに仕切られた区画の中では、新型コロナウイルスに感染した重症患者が人工心肺装置「ECMO(エクモ)」につながれ、静かに横たわっていた。
●自治医科大付属さいたま医療センターの集中治療室(ICU)。患者の周囲を防護服姿の看護師らが機材調整や投薬などでせわしなく動き回り、室外では医師や看護師らが24時間体制で患者の容体を知らせるモニターに目をこらす。
●「人工呼吸器の患者なら看護師1人で2人を担当することができるが、エクモなら患者1人に最低2人の看護師がつかなければならない。人工呼吸器なら1カ月で他の病院に転院できるケースもあるが、エクモだとここで少なくとも3カ月の治療が必要になる」。讃井部長は重症者受け入れの難しさをこう説明する。
●同センターのICUは計30床あり、同時に稼働可能なエクモ機器を4台保有している。コロナ以外の患者を受け入れる必要があることから、県にはコロナ重症患者の病床は最大6床と伝えているという。
●とはいえ今、ICUのコロナ重症患者は3人。ICUでの治療が必要な他の患者で満床状態が続いている上、コロナ以外の患者にもエクモを使用しており、現状では、これ以上コロナ患者の受け入れはできない。
●埼玉県では11月中旬ごろから新規感染者の増加が顕著で、21日には172人と最多を更新。今月3日時点の入院患者は613人、重症者は28人で、病床使用率はそれぞれ50・6%、26・7%と高水準が続く。
●本来、重症患者を優先して受け入れるはずだった同センターに11月下旬、県から軽症で持病のある60代患者を受け入れるよう緊急要請があった。今月に入り、原則中等症までを受け入れるために8床を空けた。「入院依頼の頻度が高まり、状況はだんだんとヒートアップしてきている」と讃井部長。コロナ患者で病床が埋まっていけば脳梗塞や心筋梗塞といった通常の救急医療に支障をきたすことは避けられない。
●県の入院調整業務を支援してきた讃井部長の脳裏によみがえるのは、感染第1波が到来した4、5月の苦い経験だ。当時、コロナ対応で一般病棟100床を閉鎖し、看護師約80人を確保。結果的に約3割の手術中止を余儀なくされた。「今後も重症者が増えれば地域医療に及ぼす影響は計り知れない。当時の状況が生じることは避けたい」。讃井部長は切実に訴える。
●見いだせない抜本的解決策
●コロナ感染者が増加する中、各自治体は病床確保の必要性に迫られ、専門病院や臨時病棟の開設などで上積みを試みている。ただ、実際の対応への懸念は、どの医療機関も抱える。
●「このペースで患者が増え続ければ、病床は足りなくなる」。11月9日から重症患者専用の臨時病棟の運用を始めた神戸市立医療センター中央市民病院の担当者は困惑気味に語る。
●4月以降に起きた院内感染を踏まえ、別棟での治療に専念する態勢を整えた。平屋のプレハブ施設はICU機能を持つ重症用個室14床、重症~中等症向けの22床で構成され、全36床に人工呼吸器が設置された。
●ただ開設直後からベッドは次々埋まり、4日現在の入院患者は27人。重症用個室は12床使われている。
●臨時病棟では約100人のスタッフで対応しているが、入院患者の増加に歯止めがかからなければ、本院から人員を投入する必要に迫られる。「本院での救急医療や高度な手術を継続的に提供することが困難になるのではないか」。担当者はそう危惧する。
●5月に中等症専門の病院として始動した大阪市立十三市民病院の苦悩も深い。
●同病院では90床を確保するが、春先以降の医師や看護師らの離職の穴を埋められないまま第3波が到来。入院患者は70歳以上が約7割を占め、食事や寝起きなどで生活介助が必要な人が目立つ。患者1人にかけるスタッフの負担が過重になっており、実際に運用可能なベッドは約60床だ。11月以降は多い時で1日6~7人を受け入れ、同月中旬には入院患者が一時50人に上るなど病床逼迫の度合いが高まっている。
●新型コロナの専門病院である愛知県立愛知病院(岡崎市)は、軽症の高齢者や中等症向けとして10月に開設された。現在50床が確保されているが、医師9人、看護師38人らの人員で受け入れられる患者は25人程度にとどまる。100床まで増やす計画もあるが、「人材は思うように集まらない」と同県の担当者。他の医療機関でも新型コロナ対応の人材が不足する中、抜本的な打開策は見いだせずにいる。
●一方、第3波の到来に各国が動揺しながら対策に血眼になる中、中国は涼しい顔をしている。中国国家衛生健康委員会の発表によれば、11月29日の新規感染は18件。そのうち中国国内での感染はわずか3件で、そのほかは海外から持ち込まれた事例だった。
人口13億人超というスケールで、しかも、新型コロナウイルス“発祥の地”にもかかわらず、ここまで封じ込めるとは、中国恐るべし。中国情勢に詳しいジャーナリストの富坂聰さんが解説する。日本との決定的な違いは、経済再生とコロナ対策を両立させなかったこと。すなわち、いったん経済を完全に止めて、徹底的にコロナを封じ込めてから経済活動に入った。対策後は感染が起きても小規模なものとなり、抑え込みやすくなったのです。中国のコロナ対策で、見習うべきところは非常に多い」(共同通信デジタル)
●日本では「3密」回避が打ち出されたが、中国の方針は「四早」だったという。『四早』とは、早期発見・早期隔離・早期診断・早期治療です。社会主義国家の中国では、議会を通さず法律に近い規制を作れる。武漢封鎖前後だけで30本くらい、1日1本のペースで「新しい規制」が発令された。制度の是非はさておき、国家規模で早期に『四早』を徹底できたのは大きかったでしょう」
. 今日は12月6日(日)。晴れ。5~15度。今日がお誕生日の方、おめでとうございます。今日は①宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機はやぶさ2号が小惑星りゅうぐうから地球に持ち帰ったカプセルを、オーストラリア南部の砂漠で予定通りに回収。眠い、眠い。拙句「リュウグウの砂を抱えた玉手箱」。②シンフォニー記念日 1914(大正3)年のこの日、ベルリンから帰国した山田耕筰が、初の日本人の作曲による交響曲『勝鬨と平和』を発表した。年1の庭の木々の散髪。50年お世話になった植木屋さんの交代劇。後輩のご高齢のk氏からお若いK氏親子へハイタッチ。担当も老父から働き盛りの息子へ。肩の荷を一つ降ろしまします。拙句「肩の荷を降ろした父が浮いて笑み」。ところで、みんな違ってみんないい川柳。今日は藤本静港子氏の句です。
●むくむくむくむくまさしく青年の雲よ 藤本静港子
(みんな違ってみんないい鑑賞それぞれお楽しみ下さい。)