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●8月27日をもって、京アニ事件の犠牲者35名全員の名前が公表されることとなった。事件発生から40日後まで公表がずれこんだ異例の事態の背景には、遺族の意向、そして1万5千人超の「公表反対」署名運動も起きた「世論の壁」がある。通常通りの対応をするつもりだった京都府警に対し、東京の警察庁から「待った」がかかるなど、混乱を極めたのである。(「週刊新潮」2019年9月12日号 掲載)

●3年前にも、同じようなケースが議論されたことがあった。これもまた、戦後史に残る重大事件・相模原「やまゆり園」の殺傷事件である。犠牲者19名の遺族は、神奈川県警に実名公表しないことを依頼した。知的障害者の施設ということもあり、県警は今に至るまで公表しないままだ。

●が、「それぞれに考えはあると思いますが、私自身は、実名を出すことに迷いはありませんでした」

●と言うのは尾野剛志さん。尾野さんは息子・一矢さんが重傷を負う被害に遭ったが、事件直後から実名を出して夫婦で取材に応じている。

●「仮名ではなく、名前があってこそ初めて悼むことが出来る。私たち夫婦は今でも仏壇に犠牲者の名前を書いたリストを置き、祈りを捧げています。しかし、毎年行われている追悼式では犠牲者の写真も名前もありません。あれでは、事件も風化してしまう。亡くなった本人たちは、果たして名前を隠してほしいと望んでいるのでしょうか」(同)

●そして、

●「京都アニメーションの被害者の方はみんな素晴らしい仕事をしてきた方々ですよね。ですから名前が出ることによってこの世に足跡が残ると思うんです。立派なことをして作品の最後に名前が出ていた方々でしょ。それが、亡くなったら名が出なくなったとなれば、どう思うのかな……」

●米英は実名。「実名で被害者を報じることは事件の全体像を語り、亡くなった方が生きてきた証を後世に刻むことでもあるのです」とは立教大学名誉教授の服部孝章氏(メディア法)である。

●「そもそも被害者の名を出すか出さないかを警察という権力が決めること自体がおかしい。これが許されれば、『遺族の意向』を理由に、警察にとって都合の悪い被害者の名前や捜査ミスも隠すことが出来るようになってしまいます。公表を受けた上で各メディアが判断すれば良いことです」

●元日本テレビ解説委員で、上智大学新聞学科教授の水島宏明氏も言うのだ。「どんな場合でも『事実』をできるだけ正確にメディアが伝える、という土台を原則にしておかないと、本当に事実かどうかわからないものが流通する社会になってしまいます。報道が「匿名でもいい」となった途端、後から検証ができないフェイク情報があふれることが危惧される。犠牲者の人生をしっかり伝えることなくしては、加害者が犯した罪の大きさも本当の意味で伝えたことにはなりません。その上で、名前が出た方々がネット上で誹謗中傷されたり、SNSで嫌がらせを受けたりすることがあれば、実効性ある手段で阻止する仕組みも真剣に検討すべきです」

●実際、アメリカやイギリスなどは、犯罪被害者の実名報道が主流。イギリスでは被害者がたとえ娼婦であろうとも実名報道される。犯罪事件の記録は社会の公共財。死者のプライバシーより、公共の福祉が優先される、との考え方である。他方、ドイツやフランスは前者が優先され、原則匿名報道。翻って我が国は米英に近く、これまで当局は被害者を原則実名で公表してきた。もちろん例外もあり、性犯罪の被害者や、ラブホテルやソープランドの火災で亡くなるなど、故人の尊厳が損なわれる可能性が高い場合は実名を公表しないケースも。ともあれ、従来の考え方を踏襲するなら、今回の事件は「即公表」に当たったケースである。

●12年前、一人娘の利恵さんを通称「闇サイト殺人」で失った、磯谷富美子さん。

●「娘の場合は選択の余地もなく実名で公表されましたが、それによって犯人に極刑を求める動きについて、とても説得力を持って伝えることが出来ました」

●結果、容疑者のうち1人は死刑が執行された。

●23年前、長男・孝和君を少年に殺害された武るり子さん。「私のケースは、犯人が少年だったので相手の名が報じられなかった。私たち親が自ら名前を出し、声を上げることで、報道が増え、失った息子の存在も再確認できましたし、他の被害者遺族とも繋がることが出来ました。「報道されない被害」もあるんです」

●その後、武さんは「少年犯罪被害当事者の会」を結成し、少年法改正に尽力している。

●「今回の件を受け、栗生(くりゅう)俊一警察庁長官は、周囲に「この対応を今後の公表のモデルケースにしたい」と言っています。世論の動向も相まって、今後、遺族の意向を聞く、すなわち『非公表』への流れはますます広がっていくことになるでしょう」

●今後、遺族の意向を聞く、すなわち『非公表』への流れになり、その果てにはどんな「社会」が訪れるのでしょうか。犠牲者を悼み、罪を憎む社会だろうか、それとも――。

今日は9月18日(水)。今日がお誕生日の方、おめでとうございます。今日は①金融政策決定会合(~19日、日銀)。②サッカー アジア・チャンピオンズリーグ 準々決勝第2戦 鹿島ー広州恒大=中国(カシマスタジアム)。私は雨になる前に郵便局、銀行経由でスーパーRへ、お彼岸モードの仏壇へお供え物。ところで、「路」10月号を拝受。巻頭言で木村紀夫主宰曰く「(略)馬谷は、新しいお裁きモノの講釈をやってみようとしていた。とはいえ、当時すでに江戸初期に京都所司代として活躍したと噂の板倉勝重、重宗父子のことが、本にもなり、ひとの噂にもなっていた。馬谷は板倉裁きから、八代吉宗のころの大岡越前守の大岡裁きを思いつき、お裁き物の講釈に身を入れていった。馬谷のお裁きモノには、馬谷にしか出せない独特の調子があった。大岡越前守忠相が、誰からも慕われる公正で忠実な人物であったことは、間違いない。馬谷の大岡裁きは、江戸ばかりでなく、日本六十余州に広がっていった。」と。氏は落語家、歴史研究家、小説家でもあります。

●紀夫氏の句
過去未来繋いで揺れる綱梯子
これはこれ出ない杭まで打たれてる
土砂降りの雨で洗おう我が命
青空の青を吸い込む水たまり
流木の漂うように街へゆく

●茂男の句
しょうもないことで泣いたり笑ったり
有無言わぬ熟れた西瓜の真っ二つ
忖度がルールブックを棚に上げ
スローモーションで闇の世へ落ちていく
泳げないカラス飛び込む子のピンチ

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実名の事件簿に皆響き合い”にコメントをどうぞ

  1. あすか on 2019年9月18日 at 9:24 AM :

    茂男さんお早うございます。今朝も読売新聞全国版入選
    おめでとうございます。

    洋上で台風を撃つ策探す

    他国を攻撃する兵器開発より優先してほしいです。

    ところで 茂男さんの大好きな秋刀魚召し上がりましたか?
    先日私よりスリムなのを食べました。油少なめでしたが
    初物は美味しかったです。

    • 二宮 茂男 on 2019年9月18日 at 12:44 PM :

      あすかさん こんにちは。読売時事欄へのご支援ありがとうございます。平和利用の爆弾があってもいいですよね。よく、航空写真で台風の上に回り撮影した台風の目を見せてもらいますが、真上から目玉めがけて一発、2発。漫画チックですね。何々、サンマですか。実は、雨の降る前にとお彼岸に仏壇にお供えする物を調達に行きました。リンゴ、梨、バナナ、柿、ミカンなど重い物ばかりで、大型2匹パックで500円弱のおいしそうなサンマが目に入りましたが持てませんので次回回しにしました。初物は笑いながら召し上がって下さいね。

  2. 岡本 恵 on 2019年9月18日 at 11:54 AM :

    茂男さん、こんにちは。
    「しょうもないことで泣いたり笑ったり」とても共感いたしました。大きな目で見たら、どんなことも結局は大したことではなく、しょうもないことに過ぎないのでしょう。そう思えば少し心も軽くなったりしますね。
    名前があってこその人格です。でもそれぞれに事情がある。簡単には決まらないですね。第二の矢を受けたりしない方法で考えて欲しいと思いました。
    スーパーのサンマはお値段高めでした。私も早く美味しいものを食べたいなぁ。

    • 二宮 茂男 on 2019年9月18日 at 12:52 PM :

      恵さん こんにちは。 「しょうもないことで泣いたり笑ったり」、こんなものですね。私は少々貧しい非力な庶民的な実物大のドラマが好きです。ところで、K8の3年生のとき新聞に初めて私の名前が載りました。日本が国連に加盟したときの標語でした。私は誇らしげに切り抜いて手帳にはさみました。また、昼のニュースでサンマ船が転覆したとか。横波の荒い海で獲るのですね。感謝して食べたいものですね。眼科医を明日に回して雨の前にと思ったのですが帰路は大降りでした。今日もありがとうございます。明後日は彼岸の入り。素敵な秋をお楽しみください。

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