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明晰な知性と柔らかな感受性で詩作や文芸批評に活躍した現代日本を代表する詩人の大岡信さんが5日午前10時27分、呼吸不全のため静岡県三島市内の病院で死去した。86歳だった。葬儀は近親者で行う。歌人・大岡博さんの長男として同市に生まれ、旧制沼津中時代から詩や短歌に親しんだ。東大卒業後、読売新聞に入社。川崎洋、茨木のり子らの詩誌「 櫂 かい 」に参加し、56年に第1詩集「記憶と現在」を出した。63年に退社し、「春 少女に」や「地上楽園の午後」(詩歌文学館賞)などの詩集を発表した。古典や現代芸術への造詣も深く、「紀貫之」(読売文学賞)、「詩人・菅原道真」(芸術選奨文部大臣賞)など文芸、美術、演劇評論でも活躍。朝日新聞連載の「折々のうた」で80年に菊池寛賞を受賞。明治大、東京芸術大教授を歴任し、日本ペンクラブ会長を務めた。日本芸術院会員。妻は劇作家の深瀬サキさん。長男は芥川賞作家の大岡玲さん。ご冥福をお祈り申し上げます。

今日がお誕生日の方、おめでとうございます。4月6日(木)の花は「イカリソウ」、花言葉は「あなたを離さない」。今日は①3月の消費動向調査(内閣府)②米中首脳会議(~7日、米フロリダ州)。私は「路」校正・編集会議(欠席でご免なさい)。ところで、先人・大岡 信氏(1931~2017)の詩。

●大岡 信氏の詩
ごらん 火を腹にためて山が歓喜のうなりをあげ
数億のドラムをどっととたたくとき 人は蒼ざめ逃げまどふ

でも知っておきたまへ 春の齢の頂きにきみを押しあげる力こそ
氾濫する秋の川を動かして人の堤をうち砕く力なのだ

蟻地獄 髪切虫の卵どもを春まで地下で眠らせる力が
細いくだのてっぺんに秋の果実を押しあげるのだ

ぼくは西の古い都で噴水をいくつもめぐり
ドームの下で見た 神聖な名にかざられた人々の姿

迫害と殺戮のながいながい血の夜のあとで
聖なる名の人々はしんかんと大いなる無に帰してゐた

それでも壁に絵はあった 聖別された苦しみのかたみとして
大なるものは苦もなく小でありうると誇るかのやうに

ぼくは殉教できるほど まっすぐつましく生きてゐない
ひえびえとする臓腑の冬によみがへるのはそのこと

火を腹にためて人が憎悪のうなりをあげ
数個の火玉をうちあげただけで 蒼ざめるだらう ぼくは

でもきみは知ってゐてくれ 秋の川を動かして人の堤をうち砕く力こそ春の齢の頂きにきみを置いた力なのだ

(※大岡信詩集 『捧げるうた 50篇』 より。娘が高校に進む直前の1978年1月10日付朝日新聞夕刊に寄稿した。彼女が中学から高校に移る年頃であることを念頭に置いてこれを作った」若い人のたくましい生命力。それを信じてまっすぐな思いを娘に託す父親。大岡信氏には、落ち着いた光沢があり、深い知性が漂います。理性的ですね)

 

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  1. 佐藤 千四 on 2017年4月6日 at 8:27 AM :

    おはようございます。
    朝日新聞一面を左下から読ませた男。86才でも早いと思う男。大岡家は文人一家なんですねえ。このような日本人の爪の垢は残しておくべきです。国家事業として。

            東大卒にも居りますよいい男

    • 二宮 茂男 on 2017年4月6日 at 9:43 AM :

      千四さん おはようございます。「朝日一面を下から読ませた男」、いいですね。時事句になります。ところで「折々のうた」、川柳はどなたのどんな句が紹介されたのでしょうか。86才で死因は肺炎ですね。予防注射を打たれていれば助かったかも。惜しまれます。「東大卒にも居りますよいい男」、我々の強い味方が一人旅立たれました。ご冥福をお祈り致します。有難うございます。

  2. 岡本 恵 on 2017年4月6日 at 12:16 PM :

    茂男さん、こんにちは。
    昨日は筍ご飯にイチゴでしたか。春らしい食卓でいいですね。そんな時は六分と言わず十二分に召し上がれ‥‥?
    まだまだ作家として活躍してほしいお方でした。娘さんへの願いや祈りのこもった詩は読み応えがあります。春の齢の頂にきみを押し上げる力。人智を越えた何か大きな力を感じますね。言葉の力を思います。素晴らしい作品のご紹介をありがとうございます。

    • 二宮 茂男 on 2017年4月6日 at 12:52 PM :

      恵さん こんにちは。昨日はタケノコご飯、イワシ、イチゴでした。タケノコご飯はお隣の息子宅へお裾分け、Kちゃんに「美味しい」と褒められました。イワシは1尾40円の超目玉。鱗がしっかりしていてとても新鮮、美味しかったです。十二分にいただきました。ところで、大岡信さんの呼吸不全は肺炎が原因です。高齢者はどんな病気でも最後は「肺炎」、65歳を越えたら肺炎球菌による感染症にかかからないようにワクチン接種を身近な「家庭医」で7000円程度。おすすめ致します。また、昭和54年から平成19年までの「折々のうた」、古典から現代までの歌を分かりやすく解説した人気コラム6762回とか。どなたのどんな川柳が紹介されたのか興味があります。今日も有難うございます。

  3. 太田 紀伊子 on 2017年4月6日 at 1:16 PM :

    二宮茂男さま
    折々の詩への数はすごいですね。
    今川乱魚さんが、田辺聖子さん「道頓堀の雨に別れて以来なり」が読売文学賞になり祝賀会で大岡信氏に会い「川柳も入れてくださいと言ったら現代川柳はよくわからないのですよ」と仰ったそうです。古川柳はいくつが出てましたので句集を届けるようにしたら現代川柳は乱魚さんの1句があります。

    挨拶もなく脾臓とは別れたり  乱魚    でした。

    ご本人はもっといい句を載せて欲しかったと言っておられましたが。でも貴重でした 。

    • 二宮 茂男 on 2017年4月6日 at 1:36 PM :

      紀伊子さん 折々の詩、今川乱魚先生の働きかけで、結局、乱魚先生の1句「挨拶もなく脾臓とは別れたり」だったのですね。いい句ですね。また、古川柳はいくつ載ったのですね。有難うございます。学ばせていただきます。

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