しばらく前になるが「卑弥呼の里女流川柳大会」の冊子が届いた。

写真の句は幣のものではなく、「卑弥呼の君」とも呼んでいる主催者である幣の師匠の句。課題「翼」の軸吟で掲載されている。「神出鬼没姫」と呼ばれどこへでも飛び回るお方が翼を質に入れるなど考えられないが、まあ思うことあってのことだろう、良しとしよう。各課題の三才と軸吟は、

「予感」　萩原奈津子　選

・　　　　人　　哀しみに浸かって海になる予感　　　　　真島久美子

・　　　　地　　いい予感あなたと組んだ腕の位置　　　　小林とし子

・　　　　天　　この曲はビタミンCになりそうな　　 　　阪本ちえこ

・　　　　軸　　魔女になる予感しっぽがむず痒い　　　　選者

「守る」　木本朱夏　選

・　　　　人　　枯れていく泉を守る手と手と手　　　　　河内やすこ

・　　　　地　　妻は夫の夫は妻の防波堤　　　　　　　　楠根はるえ

・　　　　天　　髪を結う自分を守る為に結う　　　　　　真島久美子

・　　　　軸　　日の丸を守り通した蛍の死　　　　　　　選者

「リズム」　平田朝子　選

・　　　　人　　婆ちゃんのおにぎり腰と手のリズム　　　萩原奈津子

・　　　　地　　青春と呼べる一曲です跳ねる　　　　　　真島久美子

・　　　　天　　ぢりぢりのビート内耳に熱帯夜　　　　　荻原奈津子

・　　　　軸　　病名を知って人生狂い出す　　　　　　　選者

「こそこそ」　松村華菜　選

・　　　　人　　カバンから指輪こそこそいつ出そう　　　長井すみ子

・　　　　地　　こそこそと医学書めくる何かある　　　　山中洋子

・　　　　天　　こそこそと仕舞う昨夜の花名詞　　　　　三塩不二子

・　　　　軸　　目の端に嘘がこそこそかくれんぼ　　　　選者

「翼」　真島久美子　選

・　　　　人　　恋風が吹くから翼広げよう　　　　　　　三塩不二子

・　　　　地　　わたくしの背に翼の跡がある秘密　　　　中山　和

・　　　　天　　昭和平成つくろいながらきた翼　　　　　木本朱夏

・　　　　軸　　翼ならとっくに質に入れました　　　　　選者