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あらすじ  家主が店子に集合を掛ける。店賃の催促かと、どぶ板の向こう側から様子を伺うと、あにはからんや向島あたりに花見に連れて行くという。ところが、絨毯は莚、蒲鉾は大根、卵焼きは沢庵、肝心の酒は番茶を煮出して水で薄めたものという始末。なるたけ下の方に座を拵えて、ゆで卵でも転げてきたら食おうとか、他の客に「お茶け」を飲ませて、返杯の酒にありつこうだの「くすぐりがふんだん」の噺である。

先日、柳家小さんと立川談志を聞き直して、あまりに有名な噺の「本質」を聞き落としていたことに気付いた。家主は「あとで、がっかりさせては気の毒だ」と言って、酒肴の種明かしを出発前にしているのである。当然、長屋の店子連中も承知で同道しているのである。月番どうしが、「いつも二人で担ぐね。次は誰ん時かね」「そうさな,おそらく大家さんだろう」そんな大家が「花見だ、花見だ」と景気をつけると「夜逃げだ、夜逃げだ」なんて応じる。噺の底流に流れるその重大な本質を忘れて「おとなからこどもまで」くすぐりに笑いお転げているのである。

この噺の枕に《銭湯で上野の花のうわさかな》とやる噺家さんがいるが、あるとき《長屋中歯を食いしばる花見かな》と演った人がいた。この川柳は「落語長屋の花見」の要約?みたいな句だから、演者はうっかり言ってしまったのだというのが団扇の観察である。

寒いから、まず戸板から薪代わりにし、そろそろ天井板にかかろうかという店子。戸がないと泥棒が入って物騒だと言われると、入ったことはないが出たことはあると応じる始末。「店賃ってなんだ、まだ貰ったことがない」という店子ばかりで家主はどうして生活ができたのか(この答えは宿題)

そんな「貧乏長屋の花見」で家主や店子の人間関係が爆笑の中で語られていく。そうか、「長屋の花見」はすぐれて人情落語だったのだ。

「大家さん、ことしは長屋にいいことがありますよ」「おや、嬉しいことを言っておくれでないか、どういう訳だい」「ごらんなさい、酒柱が立ってます。

庶民は負けないぞ負けないぞ。

 

 

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