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 昨日のこと、 目に入れて痛くないもの父に母  という句に出会った。東京都練馬区のある句会でのことである。月例会の最終プログラムで、席題「目・表現自由」で選ばれた句である。句会の様子を発表するのが目的ではないので、作者や選者の方に失礼があったらご容赦願いたい。

 以前に江畑哲男氏の「孫句論」に触発されて、ブログに書かせて頂いたことがあったが、「痛くないもの」の対象は普通は子か孫であることが通り相場である。愛人や恋人や妻を対象にした文章や詩歌や台詞にも出会ったことがない。ましてや、父と母には少なからず驚かされた。

 ところで、「水色のハンカチ」を歌われたN先生の句に 目に入れて痛くない子が目に余る がある。この句は、「目に入れて痛くないもの」という「ものはづけ」にお決まりの「愛しい子」と答えておきながら、「しかし、ときおり目に余る」と注釈をつけた川柳味の深い佳句である。

 句会の後の飲み会で「父と母」の作者と親しく話す機会が持てた。彼女には「突飛な対象として父と母」を持ち出して「慣用表現を打ち破る面白さ」などを狙う気など毛頭なく、「愛というより恩の対象」として極自然に詠んだと説明された。

 彼女の「父と母」はすでに故人であるという。してみると「目に入れる」のは、父母の遺影である。「うん、それなら目入る」と納得が入った。

 私は、「父と母を目に入れた句は、あなたが最初で最後でしょう。記念に残る一句です」と話をまとめた。割り勘1800円で中締め。さらに30分飲み続けて追加の割り勘400円。4時起床の一日が終電で終わった。

 



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