「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」は1973年の交通安全運動の標語募集で、総理大臣賞を受けた秀作です。東京から大阪までとルートを検索すると、最短ルートから乗り換え回数順、運賃の安い順、車・電車・高速バス・飛行機などの移動手段など、懇切丁寧な説明がなされます。旅は〈どこへ〉も〈なにしに〉も様々でしょう。〈父危篤〉の報には急ぐ必要もあるでしょう。「乗り換えが無くて指定の席で、時間がかかっても、のんびりできる旅がしたいのに」というおばあちゃんの乗る便はなくなりました。団扇の展望への旅は、そこそこ急ぐけれど安いに越したことはない旅でした。ジパング倶楽部はJR3割引きですが〈のぞみ〉は利用できません。〈こだま〉は時間が掛かるので〈ひかり〉しか選択の余地がありません。ところが、特別のつく〈のぞみ〉より〈ひかり〉の本数が少ないのが納得いきません。

そこで、団扇の旅行記です。東京駅6:21ひかりに乗るために、地下鉄赤塚駅を5:17、丸の内線に乗り換え5:50着、弁当を買う時間も考慮する。駅までのバスは始発前なので徒歩、丸二日間も駐輪場を占拠するのは気が引けますので。家を出たのは4:30、起床は4:00、朝飯前の仕事は慣れているのでコーヒーのみ。
新大阪→大阪→鶴橋までJR、近鉄で上本町、聞いたことがある地名が並ぶが、その順序はとんと記憶に残らない。何度も来ているのに〈ホテルアウィーナ〉への道を確かめながら到着。宿泊・受付・パーティ参加などの手続きを終えて、豪華なご祝儀袋を脇目に見ながら、〈こころばかり〉のポチ袋に入れた身分相応のお祝いを差し上げる。新幹線の中で、新家完司さんのお題が〈緑でなく縁〉であることに気がついたが、団扇の席題を知らないままに、同僚の天晴さんに「団扇はまた題を間違えていたよ」と告げると「えっ、緑でしょ」とのご返事。完司さんのブログを拝見すると、〈緑の投句〉は三人ということだったが、会場で気付いた参加者は10人前後は居ただろうとは団扇の観測。2025年になってからでも、こんな取り違えが三度あった団扇には驚くに当たらないことである。団扇の席題は〈米〉、昨句の必要もないし軸吟も不要なので、ゆったり句箋を書き上げて、のんびり弁当を頂く。なごみ亭ポットさんの落語は〈湯屋番〉高座の座布団の至近距離の席で目を合わせては気の毒なので耳だけをじっと傾ける。恒例の体操の席で「団扇の好きなのは①川柳②落語③カラオケ④スポーツの順で、高座名は空桶亭傍迷惑」と自己紹介したほど。団扇は今回も一句だけ 自己紹介は申し遅れるのがルール 橋倉久美子さんのおかげで、昨年同様全没は免れた。マナーではなくルールと考える団扇である。

題詠と自由吟のある句会で、題詠で余った句を自由吟に転用する例によく出会う。そうわかるのは抜けて披講されるからで、没句にも多々有る筈である。団扇の席題「米」からの転用も少なからずあった。団扇は日頃浮かんだ句をスマホにストックのタイトルで記録して置く習慣がある。それを題詠に利用することも少なくないから、逆方向のようである。句会では宿題よりも席題の即吟のほうが抜ける確率が高く、推敲を重ねた句は自己満足度は上昇するが世間受け?からは遠ざかるようである。

句会後のパーティー参加者の比率は例年低下する傾向である。完司さんと同じ感想で参加者の自己紹介に時間が割かれて、賑やかな舞台は短時間になってしまった。いよいよ舞台というところで、成増吟社のふらここさんからライン、「今晩が句の締め切りですよ」舞台に上がることなく、「らん」三句に没頭。恒例の夢草に出向くと施錠してあり、耳を澄ませど物音なし。「おや、時間が早過ぎたか」とう団扇得意の早合点で部屋に戻り、袋回しに遅れて参加する羽目に。マイクまたはマイクに見立てた物を手にして歌うのが恒例の完司さんが、なんと10時で閉会を宣言。昨日のブログで報告したように、帰りのひかりを二本ほど前倒して、板橋に帰宅するまで60時間の旅を終了。
句会にしろ誌上吟にしろ、締め切りのずっと前に作るタイプと、間近にならないと作らないタイプがあるらしい。団扇は誌上を早々と作るのが癖で、封書して投函するだけまでに用意して、とはいえひと月前にだすのも物欲しそうで憚られて、待つうちに締め切りを過ぎたことがある。逆は「らん」の例のままである。一日が長くてひと月が短い団扇の生活スタイルは家族にさえ理解の及ばないことが多いようである。
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