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      ある句会の句評会に団扇が提出した句   

       転ばぬ先の杖に習ってハンチング

 この句が、そもそものことの始まり。最近の句評会が互選の票を競う風潮に堕して、実は苦々しく思っている。団扇は「問題提起句」と思っているので、こんな句を出す。

 【転ばぬ先の杖】前もって用心していれば失敗することのないたとえ。

 団扇は、最近足元が危うくなったとぼやく人、手術後などで歩行が危な気な人に、恥ずかしがらずに杖を付く様に助言している。実際に歩行に役立つだろうし、「お席をお譲り下さい」のメッセージにもなると思う。「たとえ」が「たとえ」として使用されるのでなく、元の意味をそのままに解釈することは意味のあることだと考える。

 「ならう」は模倣ではなくて学習だから、習うの漢字を当てた。頭髪が薄くなったり、抜け落ちる前に帽子を被ろうという句意である。ハンチングは、どんな種類の帽子でも良いわけだが、団扇愛用の帽子がハンチングなのでそうしたまでである。

 ところが、ハンチングの表記を誤って、ハンティングとしたために、参加者の誰一人も解釈できないという結果に終わった。

 hunting capは19世紀半ばにイギリスで狩猟に用いられた帽子という。日本では鳥打帽子と呼ばれ、明治20年代に商人が愛用していたという。その後、刑事(特に特高)や探偵のイメージと結びついたと言われる。

 鳥打帽子の似たものに鹿撃ち帽子があって、これはシャーロックホームズのトレードマーク。同じくキャスケットはレーニンの愛用というから面白い。

 ところで、ここで書きたかったことは、団扇の句の評価でもなければ、帽子の薀蓄でもない。同じhuntingが、狩猟の意味ではハンティングと表記されるのに、帽子ならばハンチングで表記され、互いに融通の利かない外来語として定着した経緯である。

 アイスクリンはアイスクリームに、ステンションはステーションに変化したのに、ハンチングはそのままで、ハンティングと表記すると通じないのは何故だろうか。

 こういう例は他にもあるのだろうか。そんなことを考えていると、よく眠れる団扇は不思議な男だと思う。

 初代のハンチングは夏用だったので、二代目は黒を購入したのだが、すっかり日焼けして羊羹色になってしまった。三代目は半月持たずに紛失、いま四代目を愛用している。ベレー帽は絶対に似合わないと思ったので、ハンチングにしたのだが、動機は転ばぬ先の杖ではない。

 

 

 

 

 

 

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