ユーモア川柳の達人、坂牧春妙さんをご存知の方で、亡くなられたことをお話しすると、大層驚かれる人が多いことに気付きました。そういう方々のために、少し、長くなりますが、団扇から春妙さんへの礼状を公開いたします。
「春妙のユーモア句集」Ⅱにご返事さしあげます。川柳、特にユーモア川柳は「ああ、そうそうと一言云いたくなる」のが佳句だと思っております。そうなると、ほとんどの句にコメントすることになり、お礼のつもりで作者を苦しめることになります。(注釈:ある確かな筋から、春妙さんがかなり体調を崩されているとの情報を得ておりました)それは、妻を相手の茶飲み話に譲って、「三ページに一句のみと自身に枷をはめて、勝手な独り言をもうしあげます。よほど、お暇な時間がありましたら、栞など挟まずに気軽にお読みくださいませ。
坂牧春妙様 2014年7月21日 植竹団扇
以下、27句について感想を述べさせて頂きましたが、ここでは句のみをご紹介いたします。
何語かと耳をすませばニッポン語 留守ですと嘘をついたのは電話
「立たないで」 見ていたようにバスが言う 初めての子守歌子は寝ずに聞く
芸術の秋ひま人が忙しい 昨日捨てた箱なら丁度合うサイズ
寄贈した本の御礼が早すぎる ご仏前にというのにすぐに冷蔵庫
本当に本日限りだった店 シンガリでなんのデモかときいている
一度だけ明けない夜がやってくる 速読の立ち読み万引きに近い
うれしい顔をしてはならない不戦勝 なつかしい顔に手を振るお葬式
もたされた土産はおみやげに使う ホームでもシャンソンくらい歌いたい
徘徊と思えぬ父の足はこび 歯がなくてなぜかわいいの赤ん坊
書いたメモ裏にも何か書いてある どうしても普通に歩けないモデル
フランスパンかかえ似合わぬおばあさん 買いそうもないと店員出てこない
想像する味がもっとも美味である ゴミ捨て場と間違えられるゴミ置き場
左利き用の三味線ありますか 秘湯かと思えば猿の家族風呂
以下同文の祝辞のような胡蝶蘭
この中で、 一度だけ明けない夜がやってくる は団扇も参加した東葛川柳会 の吟行会(恵比寿ガーデン)での作品で、団扇の記憶では 一生に一度明けない夜がある だったと思います。 「明けない夜はない」というフレーズは周知のように、個人的な事柄ではなく、社会的な事柄に使用されるものです。それを、あえて個人的な事柄に使用したことがユーモアであり、「クスッと笑わせた後になるほどと唸らせて」しかも、作者の年齢から考えて、「達観した覚悟」と感心をしました。
春妙のユーモア句Ⅱ
2014年4 月20日 初版
新葉館出版
06-4259-3777
【著者略歴】 坂牧 春妙(さかまき・はるたえ)
1932東京生まれ。本名、俊子。
聖心女子大学卒。 一男二女の母親
1993年(平成5年)より川柳を始める。
2014年(平成26年)
川柳レモンの会 東京みなと番傘川柳会
東葛川柳会 川柳展望社 番傘川柳本社
体調不良のため退社
2015年(平成27年)1月31日 ご逝去
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おもしろいです。
いい句といい川柳人をご紹介いただきありがとうございます。
豆腐屋の通った道が濡れている 幻四郎
かくれんぼかえってこないかもしれぬ 夢草
知りませんでした。ビックリしました。
いずれ私も経験する朝ですが。