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 上野発8時30分発の勝田行き特急列車は全席指定のガーラガラ。主力部隊は柏駅集合だから、集合時間のはるか前の団扇とは乗り合わせる気遣いはない。石岡のホームに降り立つと、石岡の「雌雄の鐘」の伝説絵巻のような大看板が並ぶ。改札口と反対方向に歩みながらじっくり見学してから改札を出る。

 朝食を摂らずに来たので、何か口にしようと見まわすと「ローズポークと常陸牛」の同じく大看板。しかし、食堂は準備中だし、コンビニ一つ見当たらぬ。

 突如として「団扇さ~ん」呼びかけながら小走りに駆けよる紳士あり、「おや」とばかり目を凝らすと、声の主は桂文生師匠ではないか。いやいや、文生師匠も「東葛吟行に参加されるのか」と思い込んだ団扇に、かなり焦った様子の師匠は、いきなり「バスの乗り場はどこでしょう」と地獄で仏に会ったかのようなお顔付。「えっ、バスが来るという話は聞いてませんが」「いえいえ、宿のバスが迎えにくるはずです。みんなと一緒の特急で来たんだけれど、切符がどっかに行っちゃって、探してる間に置いてかれまして」

 聞けば御一行も団扇と同じ特急の6号車で来たと言う。団扇は4号車で改札から遠い方

それでも、看板を見学していなければ「やあやあこんなところで」と声かけあって、『可笑しなドラマ』の幕は開かなかったはず。

 師匠は、ガラケーを駆使して仲間に電話をかけまくるが通じない。相手も掛けているから、互いに通話中で掛からない。待てば良いのに師匠のせっかちなことと言ったら、団扇が呆れるほどの筋金入り。

 団扇は団扇で、「はて、わたくしが知らぬ間に計画の変更があったのか」と、早とちり。こちらも真相を確かめんと、師匠よりはやや進化を遂げたガラケーを掛けまくるが、相手は車中ゆえやはり掛からない。

 つまらない話に長々とお付き合いいただいた、せっかちでない読者の皆さんに『種明かし』実はこの日4月11日に東葛吟行会(川柳)と、都都逸しぐれ吟社の旅行がかち合っていたのだ。団扇はどちらの会にも時々参加するので、師匠は団扇もしぐれに、団扇は師匠も東葛にと思い込んでの「可笑しな物語」が始まったわけである。

 ドラマには必ずしも優れた脚本家はいらない、登場人物が勝手にドラマを創る。山田洋二監督が言ってたなあ。「ここで寅さんならば、こう言うだろな」でシナリオが進む、観客もそう思って見ているってね。古典落語の世界だなあ。師匠と団扇のドラマには観客がいなかったので、ちょいと悪戯に書いたまで。はい、ご退屈様。

  吟行会の宿題「ノスタルジー」で団扇が抜けた句

          志ん生の江戸の訛りが懐かしい   何日も前の作品

  しぐれ参加者の佐藤孔亮さんの嘱目吟

          ひょんな所で団扇さんと会った師匠の運の良さ

     川柳と都都逸、共通項があるからこその違いの面白さ、どうぞお確かめを。

 

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