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「この夏は、とうとうスイカ食べなかったね」という会話を思い出して、店頭で目を凝らしたら、「ねえ、いくらだったと思う?」「1500くらい?」「なに言ってるの、3700円さ」

 海岸で〈スイカ割り〉に興じた思い出。手拭いで目隠しされて、クルクルと三度ほど回されて、「こっちの方向だよ」とポンと背中を叩かれて、予めこんな歩数だろうと大股に歩いて、大きく振りかぶってエイッ。大きな拍手と歓声に、目隠しを取ると見事に真っ二つ。包丁できれいに切り分けられて美味しく食べた。

ところが、取り換えられたスイカは次々にポコポコと殴られて、グシャグシャに食べられたものではない姿。あとで美味しく食べるために、〈スイカ割り〉は〈スイカ叩き〉であってはならない。どんなに短く見積もっても、60年以上前の思い出。3700円の店頭が呼び戻した、季節外れの一席。

 

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