何がお似合い
濡れてしまった納戸の奥の
骨董品とは言えないような古道具たちには
新しい明日を生きるのだと
惜しみながらもサヨナラを言い渡した
私の目と手にストップをかけて
心のどこかを釘付けにしたのは
木箱の中に八脚並んだ
大正浪漫か昭和レトロか
透明なグリーンは
私の前のお嫁さんが...【続きを読む】
今はもう秋
いつだって忘れた頃にやってくるのは
思いもかけないミステリーツアー
さて今回のお出かけは
チラ見のナビは
スタート直後にあと30分と言いました
車を降りてからの方が遠いのかしら
わーい
お花畑
よ~し
いっぱい歩くぞ~
とそのまえに基本的欲求
...【続きを読む】
はんぶんこ
高いね空が
空中戦のトンボたちと
まだ早すぎる木枯らしを
胸いっぱいにはんぶんこ
命っていうものを
時間の関数で解いてみた
この世界も喜怒哀楽も
みんなあなたとはんぶんこ
長さも重さも大きさも
ちょうどぴったり二分の一に
ならなくたってかまわない
違ってい...【続きを読む】
この雨が上がれば
それぞれの思いが空から降る
厚い雲は夕暮れを早め
水滴のプリズムさえも消し
また今日が終わっていく
半歩さえも進めなかったと
恨むことより自虐の道を
今宵の夢の中までも
辿り続けようというのだろうか
そんな私を私は許さない
たとえ明日晴れなくても
空高くは...【続きを読む】
やっとエダマメ
ここまできたらもう少し
お日様だったり風だったり雨だったり
それでもいっぱい葉っぱを広げたんだもの
そっと覗いて見てごらんよ
イチ・ニ・サンと数えてほしいな
鞘の数も中のお豆も
いちばん東の兄さんが
いちばん最初の味見され役
植えてもらったのがちょっと遅かったからなあ
...【続きを読む】
青いお空を
蜻蛉の眼鏡に映ったものはとても沢山の一つの世界
何が見えているのだろうか広くなのか深くだろうか
過去や未来もお見通しなら黙って空を飛ぶのは何故
シオカラムギワラオニヤンマ秋には夕焼け赤と...【続きを読む】
元気です
いろんなことが起こった後には
出会ったことがたくさんあって
感情ばかりがひとりで走り
受け止めきれずに心が壊れる
見つけられない私の思い
告げたいことが言葉にならない
噴火しそうな胸の奥を
押さえ込んだら涙がこぼれた
きっと時間が救ってくれる
いつものゆっく...【続きを読む】
めぐみの進化論
とおいとおいアフリカあたりのうみで
むかしむかしずっとむかしもっとむかし
タンパクシツがうごいた
すこしだけとおいむかし
うみのそばの横濱あたりで
まだなまえのないあかんぼうがないた
みずからで...【続きを読む】
だれかさんのいうとおりジャナイノォ〜 Ⅱ
ふっくらのはずなのにモチモチを通り越して
パリッとの香ばしさも力が入り過ぎの焼き上がり
イジメたりしていないのに何をそんなにご機嫌ナナメ
説明書きをよく読まなかった訳では無いし
ブランド品の小麦粉にグラム単位のイー...【続きを読む】
だれかさんのいうとおりジャナイノォ〜 Ⅰ
写真だけで一緒になることを決めて
心から愛という名の下に生きていこうと思っていたのに
彼からのどうしても行けないというお返事に
どこに落ち着けたらいいの私の覚悟
きっと上手にパンが焼けるようになりますから
毎日空気圧を確かめて
雨の日には片手傘は止めて
きちんとレインコートで左側通...【続きを読む】
9月になれば私は
初恋を抱えた頃の少女ではないにしても
キュンキュンと胸がなることもあった夏
ちょっと傷つく感じが好きと言い直して
仮想失恋をビリージョエルで埋めている
先週からお休みしているパン焼きの仕事
ちゃんと動く新しい機械を心待ちにして
小麦粉もイースト菌も私もさあ腕まくり
いい匂いでモチモチパ...【続きを読む】
返したい帰したくない朝が来る
おばあちゃま呼べばトマトが赤くなる
じいちゃんと泣いて笑ってネンネして
三月ほど姉さんだからワンピース
父さんが守っているよ初ビキニ
食べかけのバナナいっしょに夢を見る
ヤカンから甘い麦茶が出ておめざ
お母さん呼んでみただけお母さん
お風呂にはだれと入るか水鉄砲
何もかもいいよと言って叱られる
ジェ...【続きを読む】
夏の私
紫色に生まれたことは
遠い日の思い出のよう
明日を知らないままで
うつむきがちの覚悟で
昨日のことを夢に見る
光と緑色が運命を語り
昼も夜も風も雨も過ぎ
待つことを繰り返せば
生きることの意味など
当たり前にそこにある
つながり重なる一瞬を
飲み込んでいる理由は
意思などでは...【続きを読む】
顔
別に怒っている訳じゃない
長い間現役で働いてこれからも
まだまだみんなを引っ張るつもり
厳つい姿に見えているのなら
それは俺の生き様とプライド
ライフワークを持つ男の色気
休んでいる写真じゃなくて
働く勇姿を見て欲しい
「だぁ~れだ」
わかるけどまだよくわからない
はじまっ...【続きを読む】
I’m proud of
なにもかも初めてのことで手探りばかり
不安もいっぱい抱えて育ててきた娘なのに
こんなに華やかに甘く色づいて
たわわに実ってくれたのです
心の底からの thanks を抱きしめて
まだ余りある収穫のよろこびを
せめてその子どもたちに話して聞かせましょう
二葉という名の幼稚園...【続きを読む】
案山子
大勢いてもひとりぼっち
それならいっそひとりでいたい
誰か来たならと想像したり
昼寝だって気兼ねはいらない
空だって田んぼだって
地平線までひとりじめ
風が吹いたら歌ってみよう
スタンディングオベーション by 稲穂
世界が色付く季節が過ぎて
働き盛りを通...【続きを読む】
あんなことこんなこと
忘れてしまいたいことはないけれど
庭の隅で草取りをしながら
見つかるだけの初物を
夢中で採ってきたのです
今夜は茄子と御御御付け
...【続きを読む】
真夏の夜の夢
水海道祗園祭は
日々の暮らしとは違った色と光で
静から動へと時間を追っていきます
見たこともない風体の方や
この世のものとは思えない存在
福を呼ぶ男に
私みたいな幸せ顔
私の心が妖の者に思わず引き込まれているうちに
街中の人々の心もクライマックス
大切な使命は何処かの誰かにまかせて夜の町を行く私は若...【続きを読む】