たかしに会いに行く
『烈しい西風が目に見えぬ大きな塊をごうつと打ちつけては又ごうつと打ちつけて皆痩こけた落葉木の林を一日苛め通した。木の枝は時々ひうひうと悲痛の響を立てて泣いた。短い冬の日はもう落ちかけて黄色な光を放射しつつ目叩いた。』( 長塚節「土」)
立派な門をくぐると緑深いお庭に囲まれた彼の生家が
当時のままの姿...【続きを読む】
かくれんぼ
眼に見えるもの
眼に見えないもの
今日もたくさんのものに囲まれて過ごす
自分ではあれこれと深く悩まなくても
無事にひと日を終えることができるのは
たくさんの人の心遣いや気配りの賜物
いつも感謝でいっぱい
でなければいけないはずなのに
そうばかりでもないところが私の イケナイ部分
そんなふうに考えてみ...【続きを読む】
乗合自動車
高校生のころは毎日1時間かけてのバス通学でした
本数が少ないのでいつも同じメンバー
もちろん ず〜っとおしゃべりタイム
今思えば他のお客さまにはずいぶん迷惑なことでした
ある日のことバス会社がストライキ
誰かが自転車で学校へ行こうと言い出して
3時間もかかって山を越えて谷を越えて学校へ
・・・偉かっ...【続きを読む】
おもちゃ箱
思いを綴るとその時々で違う色になる
七色にカラフルにバラエティに富んで
と言えば聞こえは良いけれども
定まらなくてバラバラでつかみどころがなくて
自分でも収拾がつかなくなってくる
一時間前と180度違う気分だったり
一日違えばもちろんすっかり様変わり
いい大人って
もっと落ち着いていて
ゆったりと...【続きを読む】
心の目盛り
マスクやお薬が大活躍で
近ごろの我が家は大忙し
私のメーターも 今日は65%
たまには こんな日も あります
半分を超えていれば
普通に過ごすことはできそう
こんな日は きちんとまじめにおとなしく
大好きなアトムに負けないように
十万馬力には及ばなくても
せめてこの65%を全部使ってがんばります
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指
こんな雨の日に指を見ていると
一本ずつがそれぞれにみんな
違う顔をしていることに戸惑います
全部が自分の手に違いないのに
長さも爪の形もそして傷の跡までも個性的
この指にしかできない仕事があって
十本が別々の方向に自己主張する声も聞こえます
気がついた時には
私の小指は少し内側にカーブしていました
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as usual
きのうよりもほんの少し早いだけで
朝日はいつもの通りに昇ってくる
「おはよう 」とまた一日が始まって
「いってきます」 をいつものように見送っている
梅の花が去年と同じように
冷たい空気の中で次の季節を告げているのに
また同じ一日が明日も無事に繰り返される保証なんて
そんなものはどこにもないという...【続きを読む】
今日は菜の花の辛子合え
お鍋の中で幸せそうにしている白菜がいて
大根は琥珀色に炊かれることを願っている
塩を味方につけた枝豆は
まさしく天下無双の風格を漂わせています
野菜は私の大のお気に入り
大地からのめぐみを
小さな身体にぎゅっと抱きしめて
そのうえ見た目にもエネルギーにあふれている
いい素材ほどシンプルに
あまり手を...【続きを読む】
Riverside
海と山とどっちが好き?
そんな時 川は少しばかり肩身が狭かったりします
この町には鬼怒川と小貝川と
歩いて行かれる距離に二本の川が流れています
用水路まで含めたら一体何本の水の流れがあるのやら
川の楽しみを数えてみたらあれもこれもと無限大
釣りや土...【続きを読む】
AB 型
あら何をしょげた顔しているの
だって明日締め切りの作品ができないんだもん
だからいつも余裕を持ってって言ってるじゃない
そんなこと今さら言われなくても分かっているんだって
とりあえず今どう...【続きを読む】
あと何日で
ボクたちはいつでもこうして
こんなにあたたかい気持ちで待っているんだ
なのに誰もこっちを向いてくれない
少しだけでいいから
ほんの小さな理由でもいいから
立ち止まってくれないかな
ワタシたちは並んで立っています
夏の間は気持ちのよい風をいっぱいに受けていたけれど
今は冷たい風が通り過ぎてくれるよ...【続きを読む】
5575 歩
迷子になってしまってもかまわないと
入り込んでみたらそこは果てしなく続く Labyrinth
なんとか抜け出したところでこの街の証を見つけた
まもなく古い様式の美しい洋館が出迎えてくれる
そしてここが最終目的地 大好きな図書館
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Sexy
Megu はほんとにオクテね
そう言われるたびに
私だって今はさなぎだけれど
いつかはきれいな蝶々になるんだから と
静かな決意を胸に秘めてきました
蝶々の美しさはやはり見た目が一番
それから やさしい笑顔 たおやかな言葉遣い
はんなりとした仕草 隠してもあふれ出る Sexy
まだまだ修行が必...【続きを読む】
切れ味
お裁縫箱の片すみで いつも静かにスタンバイ
ちょっとレトロなこの鳥さんの
何よりの自慢は切れ味です
子どもの名前がついた握り鋏といっしょに
いつでも私のそばにいます
裁ち鋏で紙を切ってはいけません
何度もそう言われた覚えがあります
鋏には決まった相手がいるのかしらと
その度に不思議でした
それだけ...【続きを読む】
雪ちらり
底冷えのするはずですね
平地でも今年初めての雪になりました
無理だとは分かっていても
あの夏の暑さをとっておけたらいいのに
と無力な自分が悲しくなります
水が結晶したという ただそれだけのことなのに
どうして私の心はこんなに落ち着かなくなるのでしょう
雪にまつわる思い出ばかりが押し寄せてくるのです
...【続きを読む】
御神籤の木
お願いを数えてくぐる大鳥居
境内は満開でした神籤の木
大吉のふたつ並んで枝の先
こっそりとここからひいていいですか
誰にでもお告げのどこか当てはまる
文才が運勢欄で光ります
中吉の検証をしてみませんか...【続きを読む】
罪
ホラー映画と見紛うばかり
真冬の野にぬけがらになったバッタが
枝の先で天を仰いでいました
もう少し行くと カエル それにヘビ
水分は少しもありません
もちろん命もありません
はっと振り返って空を見上げてしまいました
私よりも大きな百舌が急降下してくるような気配
散歩は早々に切り上げることにしましょう...【続きを読む】
うしろ姿
子どもたちが小さいころは
いつでも 見つめ合うように
抱きしめるようにして暮らしていました
学校に通うころになると
背中を見ることはふえましたが
それでも 何度も振り返ってくれました
大人に近くなってからは
うしろ姿ばかりを見ているような印象です
家から出かけてゆく時 駅で別れる時・・・
もちろん ...【続きを読む】
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