もうすぐ雨の季節が来るよと、ア・カペラの男声合唱が聞こえてきます。近いはずの線路からは、時折遠く響くように一両編成のひとりごと。二階の隅の東に窓のある小さな部屋にベッドはあって、この次の時刻にはもう何も考えないつもりで目を閉じています。
夜が夢を映し出す瞼スクリーンのレッドカーペット。そこに主演女優としてノミネートされた私がいるとイメージしてみましょうか。自分の右手で左の手をエスコートして、足は前後にきちんと揃えます。手も足も自由自在に動きます。全部私の部品です。朝早くから私のために、 そして一日中誰かのためにコントロールし続けたのですから「おやすみ」は「ありがとう」の代りとして受け取ってほしいのです。
自由にならない部品もあります。胸の奥で、ドキンドキンと勝手な振る舞いをするポンプ。飛び出しそうになったりもするのですよ。そして私にはもっと制御不能なパーツがあります。今この時も、目が耳が両の手が捕まえようと暗闇を探っているのに、何処にあるのかさえもわかりません。
こころ 心 ココロ Kokoro。
捉まえるためのツールをひとつ知っています。それはコトノハ。でも触れようとすれば離れる、掴もうとしてもすり抜ける、取り囲んだらもういない。悔しかったり、楽しかったり、いつもいつも追いかけっこの繰り返しなのに、そこにいたという証拠だけは残ります。スーパーヒロインなのですから、ツールを駆使すれば 17 の音として 5+7+5 の形で姿を現します。そして女優賞は決定的になって、テノール蛙のソロを聴きながら知らぬ間に眠りの中に落ちていくのでした。
本名はメグ・ライアンと言っておく めぐみ
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