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 大阪にいる娘夫婦に平成30年4月、私にとっての孫娘(初孫)が生まれた。前年の秋に娘の妊娠を知った時、孫が生まれたら毎月1回孫の顔を見に大阪へ行ってやろうと、実は生まれる前から密かに決めていた。娘夫婦もそれほど迷惑がっている様子でもなさそうなので(勝手に厚かましく私がそう思い込んでいただけだったかもしれないが)、生まれた翌月の5月から毎月、適当な平日の日を見計らって1泊2日の日程でいそいそと出掛けては孫の顔を拝むことを繰り返していた。
 春から夏、秋から冬へと月に1度我が家を早朝に出発して東武線の特急で東京へ向かう。そして東京駅で新幹線ののぞみに乗り換える。こういったスタイルでいつも大阪へ行っていたが、真冬の時期に行ったその日の朝のことが忘れられない。
 翌年の平成31年4月に栃木県文芸家協会(通称:とちぶん)の公式ホームページを開設することが決まっていた。その準備を前年の夏頃から担当者である私が一人で進めていて、作成を委託する会社のウェブデザイナーと何度も打合せの場を持った。限られた予算だったが、必要なコンテンツを盛り込み、最新のデザインによる画面構成を考えていた。協会が発行する総合文芸誌「朝明」のイメージを何とかうまくトップページに持って来られればいいなぁと望んでいた。しかし具体的な候補となる写真を持ち合わせていない。ウェブデザイナーに、朝明のイメージを強く打ち出すための素材を探してもらうことになっていた。
 さて件の話しに戻るが、12月中旬のある日、底冷えするまだ暗い早朝、孫に会いに大阪へ向かうため、いつものように東武電車の新栃木駅5時44分発の始発の特急スペーシアに乗り込んだ。腹ごしらえの菓子パンをかじりながらタブレット端末を眺め、1時間ちょっとの乗車時間をやり過ごそうとしていた。
 いくらか空が白み始め、ふと車窓に目をやるとオレンジ色の光が少しずつ見えてきた。夜明け、朝明である。東側の窓際の座席に一人座っていたので、ゆっくりと夜が明けていく様子、明け方の空の微妙な色の展開を独占するように眺めて楽しむことができた。一番列車なので乗客もあまりいなかった。
 車窓を光が少しずつ占めるようになると空が下から明るくなってくる。雲一つない快晴の中でその動きをずっと惹かれるように見つめ続けていた。こちらに差して来る光の明るさの上はオレンジ色、その上は赤色、さらに水色、青色、紫色、濃紺色と積み上げられている。もちろん見事なグラデーションになっているのだが、冬の朝明とはこういうものなのだ、私がいつも蒲団に包まって明け方の夢を見ている頃、晴れた日の夜明けはいつもこのように見事な彩りの経過を辿っているのだと初めて知ったのである。
 大阪から戻ってウェブデザイナーとの打ち合わせが年末にあり、電車から眺めたその朝明のシーンのことを結構熱っぽく話してしまった。翌年の4月開設に向けて、いよいよホームページのデザインとコンテンツが固まっていく。最後にトップページのデザインの提示がなされた時、私の意を汲んでくれたかのような画面だったので思わず感動し、素直に喜んだ。
 栃木県文芸家協会は、文芸愛好家の集まり、任意団体である。法人格はない。いつ潰れてもおかしくない脆さを抱えた組織である。しかし協会がずっと続くように、あのトップページの眩しさを保持していきたいと思っている。
 最後に話しておくと、毎月の大阪への旅は、娘が育休を取っていた1年間だけだった。その後の孫は保育園に通うことになっていたのである。大阪へ平日の昼間にのこのこ行っても当然会えない訳である。

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