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 私は、日々新聞(朝刊)を読まないと気が済まないタイプである。それはいつ頃から始まったのだろうか。小学校の時か中学生になってからか。
 大学生になり、東京の上石神井での下宿生活が始まると、最初の頃はテレビがなかった。新聞も読んでなかった。テレビは高価でとても買うことは出来ないが、新聞だけはどうしても読みたくなって、引っ越して数日後、どこが販売店なのか電話帳にある住所をもとに探し回った記憶がある。
 東京は朝刊と夕刊を合わせた契約で割高だったのが少し不満に感じたが、月決め購読して配達してもらうよう契約した。下宿先で新聞を読んでいるのは私だけのようだった。他の下宿人は新聞も読まずによく我慢して生活していられるなぁ、と内心思った。
 東京で新聞を配達してもらうことで一番びっくりしたことは折り込み広告の多さだった。裏が白いチラシは小さく切ってメモ用紙にしていた。これは昭和時代には当たり前の習慣だった。
 チラシを眺めるだけである程度の時間がかかる。しかし当時の私は田舎から出て来たおのぼりさんみたいなもので、東京で見聞するものすべてに対して好奇心があるから、チラシでも一通り目を通さないと気が済まない。新聞よりチラシに読む時間をかけていたことが多かったかもしれない。
 そもそも高校を卒業したばかりの18歳にとっては、紙面は難しいことばかりが書かれている。文化、家庭、スポーツ、社会面は読んで何とか付いていけるが、政治・経済・国際面は分からないことが多い。配達された新聞を手に取ると、まずテレビ番組欄(少し経って白黒テレビの中古を入手していた)、社会面の4コマ漫画から読み始めるのがいつものやり方だった。
 2年生になり赤羽の方に引っ越したが、もちろん当初から新聞は契約して読み始めた。しばらくすると、赤羽は新聞勧誘の激戦地で、朝日・読売・毎日の勧誘員が下宿先へ頻々に訪問してくる。1か月だけの契約でも、いろいろな家庭用品・雑貨、ブルーダイヤ(中箱)などの洗濯用洗剤を置いていってくれる。そのからくりが分かると、三大紙を1か月単位でこまめに契約するようにした。お蔭で卒業するまで洗剤をスーパーなどで買ったことがない。すべてこのルートで間に合った。
 今でも憶えているのは、卒業時に何箱もブルーダイヤの在庫が余っており、栃木に戻ってからそれらのうちのいくつかを既に結婚していた姉に上げたら、その中の一つが金銀パールプレゼントのパールに当たっていたことである。姉も喜んでわざわざ実家へ電話してきた。
 更に思い出したのだが、販売店からクレームの電話(大家さんからの呼び出し)がかかってきたことがあった。某紙の勧誘で複数の担当が代わる代わる私の下宿に来てその度にそれぞれ1か月分を契約した。結果的に3か月連続してこの某紙が配達されたのだが、3か月で3箱のブルーダイヤをもらった。これでは販売店側としては割に合わない。それでいささか抗議めいて「こういう契約されては困る。最初から3か月契約にしてくれ」と言われたのである。確かにまずいことをしたなと少し反省した。
 こういった感じの学生時代を過ごして、社会人になっても日々新聞を読んできた。新聞に対して一日でも読まないと気が済まない習慣がすっかり定着しているのである。ネット社会になっても、新聞無しの生活は考えられない。紙媒体からの情報収集の心地よさはパソコンやスマホの画面からでは得られない。やはりページを捲ってじっくり読めるからである。画面をスクロールしながら時間に追い立てられるようにして画面を読んでいくことは精神衛生上も不健康な影響があるのではないか。指先で紙面に触れる感覚には侮れないものがあると思う。
 旅先・出張先のホテルなどでも、ロビーで現地の地方紙を捲って読む癖がある。文芸欄で、川柳についてのローカルな話題を拾うのもおもしろい。



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