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 平成19年の春、岡山の方の川柳大会に参加した。わざわざ栃木からそこまで出向いたのは、私の句碑の除幕があったからである。私は誌上大会にはよく応募するが、実際の大会には出向いて参加するようなことはあまりしてしない。今回の大会は句碑がいくつか建立され、それの除幕を兼ねたものであるので、その中の一人でもあるのに欠席するのは大変失礼かと思い、わざわざ行く決心をしたのである。
 岡山まで新幹線で往復して現地のホテルに2泊すると結構な費用がかかる。大会主催者への句碑建立の御礼も考えなくてはいけないし、荒く見積もっても10万円ぐらいは想定しておかないといけないなぁ、などと準備を進めていた。
 そんな時に時刻表を眺めていると、東京・大阪間にJRの高速夜行バスがあるではないか。これを使えば、2泊の宿泊代は浮くかも、などと閃いた。まだ新型インフルエンザ騒ぎすらなかった時代である。これで経費は2、3万は安くなる。
 さらに、ネットで何気に「格安」を入れて夜行バスを検索すると、東京・岡山間の格安夜行バスがいくつもあるではないか。かなり安い。今でも憶えているが、一番安いのは片道6,000円、往復にすれば500円引きの何と11,500円。これでもっと経費は安くなる。最終的には10万円をはるかに下回る金額で岡山の大会へ参加できそう。これで決まり。
 いよいよ行く当日となり、早速バスに乗る。乗り場は東京駅の丸の内側だった。ある程度予想していたが、私のような50歳前後の中年はほとんどいない。大学生のような若い年代ばかりであった。1~2時間おきにトイレ休憩があり、結局はほとんど眠れなかった。ちょっと頭がすっきりしない。
 しかし除幕式をなんとかこなし、その後の大会へ向かった。宿題2題、各2句出句。席題が無かったのは助かった。席題の句を考えるには寝不足で頭がほとんど回らなかったのである。大会は合点制ではなかった。三才の入賞こそしなかったが、五客に入った句で賞品をいただいたので、ここまで来た甲斐はあったかなと思った。
 はるばる栃木からやって来た私をわざわざ紹介をしてくれる場面があった。ここまで夜行バスを使ってやって来た旨を話すと、会場が少しどよめいた。
 午後には大会が終わり、帰りのバスに乗るには時間がたっぷりあった。駅前に居酒屋があり一人で適当にビールを飲んで夕飯も食べたが、夜中の出発時刻までまだ時間がたっぷりある。駅で入場券を買って、少し静かな待合室の隅で仮眠をとった。
 帰りのバスもなかなか眠れない。いささか苦しくなってきた。朝方東京駅に着いた時には、早く電車で栃木に帰って寝たいと思った。もう二度と夜行バスには乗らないだろうとも思った。



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