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 それは昨年の12月にまで遡る。正月準備の買い出しで数年前に開店したディスカウントストアへ久し振りに足が向いた。自宅から4、5kmぐらいのところにあり、今までも午後のサイクリングのついでに寄ることが度々あった。
 店は平日なので比較的空いている。安ければ買おうと特に考えていた品物はない。年末年始にやって来る娘夫婦と孫たちのために用意できる適当な菓子類があれば買おうかぐらいの気持ちだった。
 店に一歩足を踏み入れると、それらの品物は案の定ディスカウントの謳い文句のとおりに安く売られていた。しめしめと思い(店に乗せられた面もあるかな?)、棚を買い漁るようにして何袋もカートに入れた。これで充分だろうと思ってレジに向かうと、賞味期限間近の和菓子がごった煮のようにまとめられた別コーナーが目に入った。最中に五家宝、どら焼きなどの袋詰めが積まれている。どれも甘くて旨そう。しかも半額ぐらいに値引きされているではないか。さらに徳用のかりんとうの大袋も置かれていた。これも勿論半額。
 うーん、迷うところである。特に徳用かりんとうについては、以前に別のスーパーで何袋も買い求めたことがあった。食後の口直しにかりんとうを食べ始めると指と口の動きが止まらない。特に大袋のかりんとうは後を引く。柿ピーみたく小分けした包装で詰め込まれていたなら、1袋で止められるだろうが、大袋の場合、一度開封して指を突っ込んでしまうと、2、3本で止めておこうという当初の気持ちなど吹き飛んでしまう。指先が言うことを聞いてくれない。あと少し食べたいという欲求に呆気なく負けてしまう。チャック付きの袋なので、閉めてしまえばそれで御馳走さまが一応は可能である。しかし、性懲りもなくまたこじ開けてもう1本ぐらいはいいかと、言い訳しながら口に入れることを繰り返す。結果的に10本程度を食べてしまう。
 食べ物に意地汚い人を卑(いや)しん坊というが、栃木県では(おそらく北関東ではどこでもそうだろう)この言葉を縮めて「やしんぼ」という。これに動詞の「する」を付けて、やしんぼするという言い方もある。食いしん坊とは微妙に意味合いが異なる。
 かりんとうという魅惑的な存在に対して、わたしは「やしんぼ」そのものなのである。毎日食後にかりんとうをやしんぼしていたのである。徳用で300gぐらいの内容量だっただろうか、3、4日で食べ尽くしてしまった。その頃から既に血糖値が高くなっていて、糖分には気をつけなければいけなかったのに、自制が効かなかった。うーん、情けない。かかりつけ医のところで診てもらった血液検査で血糖値はしっかり上がっていた。もちろんかりんとうだけのせいではないのは充分承知している。しかし、かりんとうに対する指先の動きは、パブロフの条件反射みたいな犬猫並みの反応だった。
 以上、どうでもいいようなことをくどくどと書いてきたが、ディスカウントストアの徳用かりんとうの話しに戻ると、2袋買おうかと手を伸ばしたが、その苦い経験を俄かに思い出して結局は1袋だけに留めてカートに入れた。年が明けて2月頃に開封して食べ始めたが、やはり一度に10本近くを食べてしまっていた。これはいけないと思ったのだが、思っただけで終わった。また徳用かりんとうの値引き商品が目についたらどうしよう。不安である(読者諸賢はバカバカしいとお思いでしょうが…)。

  武骨だが愛はたっぷりかりんとう  博史

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