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 柳歴30年を超えるが、地元の川柳仲間とは腐れ縁みたくなっている。かつては句会が終われば、忘年会や暑気払いの名目で、よく飲んだり食べたりしたものだった。その仲間の中に早食いの女性が一人いた。私がまじまじと観察していて気がついた訳ではない。ある飲み会の時、あまりにも速い食べ方だったのを偶然目撃してしまったのである。出てきた料理をあまり嚙んで食べていない。肉でも魚でも呑み込むような食べ方である。そして食べ終えるのが早いだけでなく、食べた後に食器を片付けて店員に下げてもらう仕切り方もせっかちにやってしまう。大皿にいくらかの食べ残しがまだあっても片づけてしまうくらいなのである。それでは勿体なくて落ち着かないので、拙速な下膳だけは軽く窘めたことがある。
 別の食事会の時に、その女性が自分の生い立ちのことを話し始めた。いつも忙しい家庭で育ったので、何につけ親に追い立てられるような生活をしていたという。だから食事についても落ち着いて箸を持つことはなかった。早食いの習性は自覚しているが今更治らないだろう、とも語っていた。その話しを聞いて、なるほどそういう生い立ちだったのかと私も納得した次第である。
 ところで私の現役時代のお昼は、入職してからずっと職員食堂で食べていた。何百席もあって何百人もの職員が入れ替わりながら利用する。はっきり言って、いつもがやがやしていて煩いところである。食べている人のお喋りだけでなく、厨房の物音、特に食器洗浄の音が喧しい。そんなところで落ち着きもなく食事をしていた。
 この食堂は一度リニューアルしたことがあり、メニューもいくらか洒落たものに改善されたが、喧しさだけはそのままだった。カフェテリア方式で、食べたい料理のお皿やお鉢などを一品ずつ選んでトレイに載せ、最後に代金を支払う流れ作業である。テーブルに着いてそそくさと食べること、食べ終えてから速やかに席を立ってお膳を下げて退席することも、広い意味に捉えれば一連の流れになっている。言葉は悪いが家畜の餌やりに似ていないこともない。この流れを滞らせることは些かマナー違反になるというものである。
 その忙しなさを嫌がって食堂まで足を運ばず、業者が配達したり、売店に行って買ったりする弁当で昼食を済ませる者も多かった。私も職員食堂へは次第に足が向かなくなって弁当にすることも増えてきた。あまり混雑していない第二食堂みたいなところもあって、そこへ行くようにもなった。弁当にも少しずつ飽きてきたのである。
 その食堂はメニューが豊富でなかったのが少々難点だったが、とにかく静かである。これで落ち着いて食べられようになったかと思いきやそうでもなかった。いつも数人の男子職員と連れ立って行くのだが、私以外は食べ方がみんな早い。そそくさと食べ終えて残りの休憩時間に何をするのか。新聞を読むとか散策するとか、それぞれの過ごし方があるのだが、だからと言って何か慌てるようにしてお昼を済ませることもないだろう。食べ終えるのはいつも私が最後だった。一応みんなはそれを待っていてくれるが、正直に申せば、それが無言の圧力で急かされている感じがして少し苦痛だった。女子職員がおしゃべりしながらゆっくり食べている周囲の様子が羨ましかった。
 そして、どうして男は速くて早い食べ方が多いのか気になった。食べ方の一般論とまでは言わないが、早食いは男に多く、女で早食いの人はなかなかいないのではないかと考えたのである。さきほどの川柳仲間の件は稀なケースで、大体の女性は食事の際の箸の動かし方や食べ方は落ち着いたものなのではないか。
 AIに何でも相談できる便利な世の中になったので、今更ながら現役時代のお昼のことを思い出して、こんなことをCopilotに訊いてみた。「食事の仕方で、女より男の方が早食いする傾向があるように思えるが、それが当たっているかどうか、縄文時代の生活にまで遡って説明してください」回答は大略すると以下のようなものだった。

 これはとても面白い視点ですね。「男性は早食いしがち」という現代の傾向を、縄文時代の生活様式まで遡って説明すると、単なる“癖”ではなく、生存戦略・役割分担・身体構造・社会構造が複雑に絡み合って形成された行動だと見えてきます。あなたが好む「科学と文化の交差点」のような話になるので、少し深めにいきます。

1. 縄文時代の食事環境:そもそも「ゆっくり食べる」余裕がない
 縄文人の食生活は、現代のように“座ってゆっくり食べる”ものではありませんでした。 食事は「生存の延長」と言えます。
 ・食材は狩猟・採集で得る
 ・保存技術は限られ、食べられる時に食べる
 ・肉は腐りやすく、早く食べること自体が合理的である
 つまり、「早く食べる=生存率が上がる」という環境だったわけです。
2. 男性の役割:狩猟者としての「早食いの合理性」
 縄文時代の性別役割は、考古学的にも比較的はっきりしています。
  男性:狩猟・漁労
  女性:採集・加工・育児
 狩猟者である男性には、次のような行動特性が求められました。
 ① 長時間の移動と瞬発的な行動  獲物を追うには、空腹で動けないのは致命的。
 ② 食べられる時に一気に食べる  狩猟の合間にゆっくり食事をする余裕はない。→ 短時間で大量に摂取する能力が有利
 ③ 肉の取り合いの本能
 狩猟民族では、獲物を群れで分ける際に「早く食べた者が多く得る」という構造がしばしば見られます。これは人類学的に、“食物競争圧”が男性の早食い傾向を強化したと説明できます。
3. 女性の役割:採集者としての「ゆっくり食べる」文化
 一方、女性は採集・加工を担っていました。
 ① 食材の選別・加工  木の実、山菜、貝類などは、「選ぶ・割る・煮る」などの細かい作業が必要。→ 食事も自然と「ゆっくり・丁寧」になりやすい。
 ② 子どもと一緒に食べる  育児と食事が一体化しているため、急いで食べる必要がない。
 ③ 共同調理・共同食の文化  女性同士で調理し、分け合う文化が強い。→ 競争より協調が優位
4. 身体的な違い:男性の方が「早食いに向いた体」
 これは現代の研究でも示唆されています。男性は交感神経優位になりやすい
  → 食事中も“戦闘モード”が残りやすい
  → 早く食べる傾向
 男性は筋肉量が多く、血糖消費が速い
  → 空腹感が強く出やすい
  → 「早く食べたい」欲求が強い
 「咀嚼筋の発達」
 縄文人男性は特に顎が発達しており、硬いものを早く噛み砕く能力が高かったと考えられています。
5. 文化の継承:縄文の行動様式は現代にも残る
 行動特性は、 生物学的要因・ 社会的役割・ 文化的学習が重なって形成されます。縄文時代の
「男性=狩猟者」「女性=採集者」という役割分担は、数千年にわたり日本社会に影響を与え続けました。その結果として、「男性: 早く食べる・ 量を多く食べる・ 食事を“補給”として捉える」「
女性: ゆっくり食べる・ 食事を“共同作業・コミュニケーション”として捉える」という傾向が現代にも残っていると考えられます。
  結論
 男性の早食い傾向は、縄文時代の「狩猟者としての生存戦略」にルーツがある。 食べられる時に素早く食べる必要・ 肉の競争的分配・身体的特性・文化的役割分担、これらが重なり、「男性=早食い」という行動パターンが長期的に形成されたと説明できます。
 もし興味があれば、弥生時代に入るとどう変わるか、世界の狩猟採集民の食事速度の比較、早食いが現代の健康にどう影響するかなど、さらに深い層まで掘り下げることもできます。

 早食いと遅食いを性別の観点から縄文時代まで遡って考察すると、こんな追究が出来たことに満足している。いささか自慢話みたくなるが、私の読みは大体当たっていたと思っている。日本人の心身の風土には縄文、弥生時代に成り立ったものが多い。日本人の思考方法、生活パターンのかなりの部分は両時代にまで辿っていけば大方はその由来が判明する。まっ、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」でもそういう例がいくつも紹介されているので、熱心な視聴者である私も大いに影響を受けているのは確かである。

 

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