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 中学時代は卓球部に入っていて、授業が終わると毎日練習に励んだいた。帰りはいつも遅くなって、冬になると夜道を通って我が家に向かう。当時は街灯もあまり設置されていなかったが、家が同じ方面の仲間とふざけ合ったりしながら帰った。ある時、仲間の一人がこんなことを言い出した。暗がりを歩いていて、年取ったおばあさんとすれ違った時に「今晩は」と挨拶すると向こうも必ず「今晩は」と返してくれる、と。そして、それはおもしろそうだと早速これを実験することとなった。
 薄暗い道ではっきり相手の顔が見えない。でもおばあさんであることぐらいは、ある程度認識できる。一人が勇気を出して「今晩は」と声をかけた。見事に「今晩は」と返してくれた。うまくいった。調子に乗って、おばあさんらしき人物を見つけたら次々と声をかけた。すべて言葉を返してくれて大成功である。みんな盛り上がった。はた迷惑な行為であることは承知の上での完全なゲーム感覚。でも、古き良き時代の悪ふざけ、悪戯だったとも言えようか。
 最近散歩などで日中通りを歩いていると、小中学生が「こんにちは」と挨拶してくれる。挨拶されたら、勿論こちらも挨拶して返すが、これはある時期から始まったように記憶している。おそらく学校からの指導であっただろう。かつてはこんなことはしていなかった。お互いに挨拶して警戒心を解くという西洋的な習慣・マナーが日本にも普及してきたと言えるだろうか。裏を返せば、誘拐や通り魔殺人など、日本も物騒な世の中になってきたとも言える。ともかく挨拶だけなら、手間もカネもかからない。細やかだが犯罪に対する抑止効果はあるだろう。
 現役の時、職場のエレベーターに一人乗っていたところ、あるフロアで顔だけは誰だか知っているイギリス人が乗り込んで来て、いきなり「ハロー」と声をかけてきた。戸惑っていると怪訝な顔していたので仕方なく「ハロー」と言い返した。イギリスでは当たり前の習慣なのだろうけど、やはり日本では少し戸惑ってしまう場面になる。単一民族の日本では、人に会った場合一々警戒心を解くための挨拶をするようなことはしない。挨拶の言葉のみならず、ハグやキスも、お互い敵ではないということの意思確認なのだろうが、そこまでの仕草は日本ではまだ必要でないだろう。



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