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  いきなり言うが、靴には革靴や運動靴などいろいろあるが、その形はどれもすべておかしい。両足の先にはそれぞれ5本の指が生えている。扇形に近いのに、それに合わせた輪郭にはなっていない。ずっとこのことを不自然に思っていた。
 外反母趾などという症状があるが、そもそも足に合わせた素直な形になっていない靴に足が押し込められてそうなるのだと考えられる。これが改善されれば、発症は少なくなるのではないか。
 靴は服装と同じくファッションである。ファッションは機能性よりデザイン性が重視される。足の形どおりの靴を作ったら、やはりカッコよくないのである。中国の纏足などもそうだが、美的センスの観点から扇形の広がりは望ましいものではないと言えるのかもしれない。この広がりは、どちらかといえば足を大きく見せてしまう。足は小さい方がいいのだ。日本の下駄などはその例外かもしれないが、サンダルや草履も、どちらかと言えばちんまりした印象を与える形になっている。
 帽子や靴も含めた服飾関係のデザインは、気候風土を踏まえて考案されながらも、実際はやはりデザイン重視になっている。それも資本主義的なやり方で進展していく。以前、クールビズが盛んに言われて普及した時、あの襟元が暑苦し気なワイシャツがよく流行るものだと私は内心呆れ返った。省エネのために冷房の設定温度を高くしたとはいえ、空調の整ったオフィスに一日いるからあんなも代物でも何とか受け入れられるのだ。ほんとに暑い部屋で一日中デスクワークをしなければならないなら、沖縄のかりゆしかTシャツにならないと到底我慢できないだろう。密かにそう思ったものだった。
 最後に50年近く前の私自身の経験を話す。大学に入学する時に初めてブレザーを購入した。ブレザーの一着ぐらいは持っていないと何かの時にまずいのではないかと、春先にデパートで買い求めたのである。実際に腕を通して着てみた。街を歩くと胸元に風が入る冷たさに驚いた。この大きな襟は全く機能的ではないとまず感じたのである。それ以降はもうすっかり慣れてしまったが、その記憶は今でも忘れていない。



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