透徹した眼と洗練された言葉、清純簡潔な表現が織りなす川柳集。待望の第8弾!
川柳入門書きってのロングセラー「川柳の理論と実践」の著者であり、最新刊「良い川柳から学ぶ秀句の条件」も大好評の著者が「平成元年」からスタートし、5年ごとに刊行する句集のシリーズ。これまでに「平成元年」「平成五年」「平成十年」「平成十五年」「平成二十年」「平成二十五年」「令和元年」と7冊を刊行。
この1冊から、切れ味鋭いアイロニー、ウイットに富んだ表現、飄々とした軽みの境地を堪能でき、著者が重ねてきた年齢とともに得た燻し銀の渋みが加わって、これぞ川柳という極上の作品群を堪能することが出来る。
働かず朝昼晩と食べている
三月三日電気毛布を弱にする
カニカマが遂に大海原の味
いつか出るつもりの町で老いぼれる
あの世など公民館の裏あたり
お辞儀する姿勢が楽になってきた
忘れてはいない消しゴム借りた恩
春霞なのか白内障なのか
この国はまだ美しいフキノトウ
冬の文字その点々は冬なのか
ポイントカードごそごそ探す負け戦