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  若い頃から胸の中でもやもやしていることが一つあった。
 「若気の至り」という言葉があるが、誰でも若い時には、物事を冷静に考えて行動することができず、独り善がりで猪突猛進したり、欲求不満の捌け口としてやんちゃなことをやったりした経験があることだろう。勿論私もその例外ではない。
 若い頃の無茶苦茶な行動というのも、バリエーションがあってその程度もいろいろ異なる。学校でのいじめ、刑事事件すれすれのこと、道路交通規則の違反、昔はそんな言葉はなかったハラスメント的言動(セクハラ・パワハラその他)、などなど挙げればキリがない。
 迷惑をかけた方はすっかり忘れているというのに、その時に迷惑を受けた当事者はずっと蟠っていてしっかり憶えている。ここの意識のずれが問題なのである。
 昭和40年代、今では想像できないことだろうが、学生運動というのが各地の大学で盛んに行われていて、過激派と呼ばれる大学生がヘルメット姿に角棒などを握って暴れていた時代があった。大学構内の建物をバリケード封鎖して立て籠もったりして、今では考えられない騒ぎ、迷惑行為を起こしていたのである。
 かなり前の話しだが、ある小説家がテレビで、自分が学生運動していた頃に壊した大学校舎の修繕代について、だいぶ時間が経ってから(多分その人が30代、40代の頃)、大学当局からある日突然請求書が届いたことを話していて、今更こんな請求が出てくるとはどういうことなのか、私にはさらさら弁償する気はない、というようなことを述べていた。
 私はこの話しを聞いて、法律に基づいた請求行為であるので、いくら時間が経過したからといっても、時効になっていないのだからきちんと対応(弁償)すべきではないかと思った。若い時分の不始末(その時は不始末とは考えずやむを得ない当然の行為と当人は思っていたのだろうが)は、若かった頃のことだったから仕方がない、などといった言い訳でてチャラになるものでは決してない。
 しかし芸能人や政治家、宗教家に実業家その他、有名になった人達の中には、若い時に結構悪い事、あくどい事をしていた連中が結構いる。隠していてバレてしまった人もいるが、正直に吐露している人もいる。今現在を見ればすっかり改悛していて、タレントとして人気絶頂にいる、お国のために頑張っている、悩める人のために人の道を説いている、起業して世のため人のために役立っている、そういう立派な姿になっているが、過去は依然として過去のまま残っている。そのために決して消えることがない記憶となってトラウマを負っている人、どうにもならないと泣き寝入りした人もたくさんいるのだろうが、今更その人達に焦点を当ててそれらのことに話題として触れることは、成功体験の華々しさに比べればある意味野暮なこと、興醒めするものになってしまう。もちろんスキャンダルとして掘り起こせばニュースバリューのあるものとなるが、すでに免責されたものとして扱われて幕となるだろう。
 ここらあたりの考え方が本当に難しい。現在が良しならば過去も良しなのか。いやそんなことはない。負の過去は、嫌な思いを抱いている人がいる限りずっと消えないものなのだとも言える。
 私自身について言えば、私に対することで嫌な思い出を抱えている人がいるだろう。それは私の言動の所為であり、若気の至り、事の成り行きで結果的にそうなってしまった、などと今更弁明しても何の役にも立たない。でもよくよく考えると、こういったことは誰にでも少しは当てはまることなのだから、若い時分の仕方のない出来事として受け流してしまっていいのかもしれない。
 いい歳をしてまだこんなことで偶にうじうじと考え悩んだりしている私なのである。

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